アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS)は3月25日、同社パートナー向けの年次イベント「AWS Partner Summit Tokyo」をオンラインで開催した。基調講演に登壇したパートナーアライアンス統括本部 執行役員の渡邉宗行氏は、企業ユーザーのクラウド移行が加速している状況を踏まえ、パートナー各社にクラウドを生かした価値創造に注力してほしいと呼び掛けた。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン パートナーアライアンス統括本部 執行役員の渡邉宗行氏
例年は実際の会場で行われる同イベントだが、2020年は新型コロナウイルスの流行に伴う感染拡大を防止するために映像配信で実施された。渡邉氏によれば、今回は約2000人が参加する予定で、22のブレイクアウトセッションの映像を4月上旬まで配信するとしている。
基調講演の冒頭で同氏は、国内パブリッククラウド市場が2020年中に1兆円を超える規模に拡大し、2024年には2兆円を超えるというIDC Japanの予測を紹介した。市場拡大に伴って成長ペースは次第に鈍化する見通しだが、それでも2024年は15%以上が見込まれている。AWSの成長スピードはこの市場の平均値を超えるペースだと強調した。
AWSのサービスインフラ状況
同社のサービスインフラは、グローバルで22のリージョン・69のアベイラビリティゾーン(AZ)に拡大した。東京リージョンには4つのAZがあり、2021年には世界で唯一のローカルリージョンとなっている大阪が標準のリージョンに“格上げ”される。「東京から500km以上離れた大阪は、東京のバックアップというニーズで用意したが、本格的に利用したいという声が高まり、標準のリージョンとして提供する」と渡邉氏。また、2019年7月には東京リージョンのAZの1つで電源設備の故障によるサービス障害が発生したが、渡邉氏は「ご迷惑をおかけしたが、原因を究明して対策を講じた。ここでもパートナーからの数多くのご意見を生かしている」と語った。
現在、国内のAWS Partner Network(APN)は、コンサルティングパートナーが285社、テクノロジーパートナーが335社にまで拡大した。最上位のプレミアムパートナーにはSCSKが加わり9社体制となったほか、AWSのサービス利用を支援するマネージドサービスプロバイダープログラムの認定パートナーも12社に増えている。
同社とパートナーが連携してユーザー企業のニーズに対応する施策としては、「APN Customer Engagements Program」や「AWS パートナー ソリューション ファインダー」を提供。案件の共有や営業およびマーケティングの共同展開、多種多様なパートナーソリューションを容易に探せる機能などが、同社とパートナーのビジネス拡大を支えているとした。
同日時点のAWSのサービスは175種類を数えるが、渡邉氏は「AWSのサービスはあくまでユーザーニーズに基づいて誰もが安価に使えるというものであり、当然ながらAWSで完結しない。パートナーにはサービスを組み合わせ、ユーザーにとって高い付加価値を創造していただきたい」と述べた。