AWS、2021年初頭に大阪リージョン開設--“ローカル”から“フル”に規模拡大

藤本和彦 (編集部)

2020-01-21 07:00

 アマゾン ウェブ サービス(AWS) ジャパンは1月20日、2021年初頭に大阪ローカルリージョンを拡張し、“フルリージョン”として提供すると発表した。拡張された大阪リージョンは3つのアベイラビリティーゾーン(AZ)から成り、他のAWSリージョンと同等のサービスを利用可能になる。

 AWSでは、2018年2月に大阪ローカルリージョンを開設。仮想サーバー「Elastic Compute Cloud」(EC2)やクラウドストレージ「Simple Storage Service」(S3)などの基本的なサービスのみを提供し、東京を含むその他リージョンで稼働するシステムのバックアップサイトとしての意味合いが強かった。

 この大阪ローカルリージョンを拡張することで、単体のリージョンとして独立させる形になる。複数のAZを利用することでリージョン内における耐障害性を高め、迅速なフェールオーバーが可能になるほか、リージョンをまたがった地理的なリスク分散や2つの異なる地点でワークロードやシステムをアクティブに稼働させたというニーズに応える。

 また、関西圏の顧客企業は、大阪リージョンを利用することで、東京リージョンを使うよりも低遅延でAWSサービスにアクセスできるようになる。関西電力やコニカミノルタ、ジェーシービー(JCB)、三井住友信託銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループなどが大阪リージョンの積極活用を表明している。

 会見に登壇したソニー銀行では、大阪リージョンの開設を受けて、勘定系を含む全業務にAWSの利用を拡大する方針を明らかにした。同行は、2013年末にAWSの利用を始め、ファイルサーバー・グループウェア・電子ワークフローなどの社内システム、管理会計・市場リスク管理・融資審査などの銀行周辺系システムが稼働中。2017年冬には、勘定系の一部である財務会計システムでも採用を決め、2019年秋の時点で本番稼働を始めている。

 2019年時点で約50のサービスがAWS上で稼働しており、インフラ導入・構築期間はオンプレミスに比べて約50%削減、運用コストは40~60%程度の削減効果が得られたとしている。現在はAWSを全面採用することを前提に、勘定系システムの更改方式を検討中であると言い、マイクロサービスやコンテナー、サーバーレスといったクラウドネイティブなアーキテクチャーを使って開発生産性を向上したいという。

 また、社内業務端末として2019年4月に全面導入したDaaS「Amazon WorkSpaces」の利用範囲も拡大させ、2020年度前半をめどに銀行業務端末での利用も開始する。ソニー銀行 執行役員の福嶋達也氏は、「どこまでクラウドにするかではなく、どのようにクラウドを活用するか」が同社のクラウド活用の方向性であると説明した。

ソニー銀行の福嶋達也氏(左)とAWSジャパン 代表取締役社長の長崎忠雄氏
ソニー銀行の福嶋達也氏(左)とAWSジャパン 代表取締役社長の長崎忠雄氏

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