本連載では、筆者が「気になるIT(技術・製品・サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、NTTドコモとNTTデータが提供を目指す「人工知能(AI)を活用した電話業務を自動化するサービス」について取り上げたい。
NTTドコモとNTTデータが新サービスに向けて連携
NTTドコモとNTTデータは先頃、AIを使って電話業務を自動化するサービスの提供に向け、「AIを活用した電話応対業務の自動化に関する連携協定」を締結したと発表した。2020年初旬から実業務での有用性を検証する実証実験を行い、4月以降に企業や自治体へサービスの提供開始を予定している。
この協定では、NTTドコモの対話型AIサービス「ドコモAIエージェントAPI」と、Amazon Web Services(AWS)が提供する、クラウド上にコールセンターを構築できるサービス「Amazon Connect」を組み合わせて開発した「AIによる電話応対技術」を、NTTデータがロボティックプロセスオートメーション(RPA)ソフトウェア「WinActor」と同ソフトの運用ツール「WinDirector」を約3000社へ提供した実績から導き出した自動化ニーズのあるユースケースに適用。さらにWinActorと連結させることで、PC操作を含めた電話業務を一貫してAIが代行するサービスの提供を目指すとしている。
これにより、従来オペレーターが電話応対しながらPCを操作する、もしくはオペレーターが受け取った依頼を別の担当者に渡してPCで処理するといった業務プロセスを一元的に自動化し、生産性を飛躍的に向上させることが可能になるという。(図1)
図1:AIを活用した電話業務を自動化するサービスの利用イメージ(出典:NTTドコモとNTTデータの資料)
両社によると、昨今、労働力人口の減少や働き方改革に対する意識の高まりを背景に、業務効率化や生産性の向上が求められている中、在宅確認や問い合わせ、レストランの予約など「音声」によるコミュニケーションが必要なオフィス業務は依然として多く、電話業務の効率化が望まれているという。
両社は自らが保有するこれらの技術やノウハウに基づき、さまざまなサービスやパートナー企業と連携することで、音声を活用したビジネスのデジタル化や、音声を利用したオフィス業務の効率化による生産性の向上を実現し、電話業務をデジタル技術で自動化するという新しい業務プロセス自動化の市場を開拓していく構えだ。