7世紀にわたって続いてきた英国議会は、新型コロナウイルス対策のため、「バーチャル議会」を開催することになった。
これによって上下両院の議員は、感染抑制のために対人距離を確保する規則を尊重しながら、仕事の一部をリモートで行えるようになっている。これには、大臣との質疑や、特定の問題に関する議論などが含まれる。
ただし、下院議員は「Zoom」を利用するのに対して、上院では(少なくとも当面は)「Microsoft Teams」を使って議事日程に関する議論や政府への質疑を行うことになっている。しかし、数週間前には、上院も下院の計画に乗じてZoomを導入する予定だったという。
Microsoft Teamsは議会が既に持っている「Office 365」に含まれており、議会のIDやアクセス管理ツールにも統合されている。このため、スタッフや両院の議員はすでにTeamsを使える状態になっている。上院にとっては、既に知っている機能を使うだけでいいわけだ。
上院議員はオンライン議事に関する手引きを受け取っており、この手引きには、Microsoft Teamsを利用して、リモートから口頭質問や私的通告質問、大臣声明などの非立法的な議論を行うことができると述べられている。非立法的な議事は完全にオンライン化され、議員はリモートでしか参加できなくなる。手引きでは、上院議員が座った状態で発言することが許されることや、聖職上院議員がローブを着用せずに参加できるといった細かい規則も定められている。
5月上旬までには、上院にもZoomが導入され、Parliamentlive.tvでセッションがライブ配信される可能性があるという。
議会の広報担当者は、米ZDNetの取材に対して「両院の性格と、新しい配信インフラを開発、構築して、システムのレジリエンスを確保する必要性があることを考慮し、現実的な判断として、まず下院にこの技術を導入し、その後数週間以内に上院にも導入することとした」と述べた。
つまり、下院議員が上院議員に先駆けてZoomをテストし、うまくいけば、両院に同じ技術を導入するということだ。広報担当者は、「これにより、両院議会による行政監視機能を確保しながら、テストをして学ぶことができ、同時に議会施設内での議員の安全を確保できる」と述べている。