SBテクノロジーは4月27日、Microsoft Teamsを用いて2020年3月期通期業績を発表し、この説明会をMicrosoft Teamsを使って行った。日本マイクロソフトによれば、決算説明会でのMicrosoft Teamsの利用は国内初という。
SBテクノロジー 2020年3月期第4四半期決算説明会の様子。代表取締役社長 CEOの阿多親市氏が決算内容を説明した
機関投資家向けに四半期や通期の決算、中間決算の状況を報告する決算説明会では近年、インターネット経由でライブ配信するオンライン決算説明会が増加している。ソフトバンクグループは2019年8月、2020年3月期第1四半期 決算説明会をオンラインでも実施し、注目を集めた。経済産業省も新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、「3月期決算企業の決算・監査に関する業務に大きな遅延が生じる可能性が高まっている。(中略)例年とは異なるスケジュールや方法を検討してほしい」との大臣談話を4月24日付で発表していた。
多くのオンライン決算説明会は、リアルタイムで視聴者に映像を配信するYouTubeライブやHTML 5ベースの独自システムなどを使用し、質疑応答はテキストチャット機能を用いることが一般的だ。一連の仕組みをソリューションとして提供する企業も少なくない。
Microsoft Teamsは、チャットベースのワークスペースツールとして2017年3月に登場し、同年9月にはSkype for Businessと融合することで、ウェブ会議および音声通話機能の提供を開始した。昨今の新型コロナウイルスの影響拡大から、2020年3月にはウェブ会議ソリューション需要増を受けて、1日当たりの利用者数が1週間で1200万人も増加し、4月27日時点で4400万人に拡大した。
本来Microsoft Teamsは、Microsoft 365アカウントを必要とするサービスになるが、SBテクノロジーの決算説明会では、ゲストアクセス者を開催者が承認する形で実施された。登壇側となる“発表者”は16人、取材などでアクセスした“出席者”は60人(同日16時現在)だったが、同社の説明によれば80人以上が参加したという。
筆者はデスクトップPCで参加したが、プレゼンテーションスライドは静止画のため特段問題ないものの、登壇者の映像に切り替わるとネットワーク帯域の問題なのか、映像はスムーズに流れなかった。代表取締役社長 CEO(最高経営責任者)の阿多親市氏は、決算説明前に「オンライン開催は初めて。日本マイクロソフトの協力で機材やスタッフをそろえてもらった。(説明会を)きっかけに決算説明会や社内の共有の事例になればいい」と語った。
なお、Microsoft Teamsには多数のユーザーに映像を配信する拡張機能「Microsoft Teamsライブイベント」がある。ライブ映像を配信するビデオストリーミングサービス「Microsoft Stream」を併用することで、組織内における動画コンテンツの共有を可能にする機能だ。SBテクノロジーの説明によれば、約1100人の社員がMicrosoft Teamsライブイベントで参加していたという。
オンライン決算説明会開催にあたりSBテクノロジーは、PCやスマートフォンから接続する際のマニュアルを用意した(提供: 株式会社 環)
他方で株主を対象とした定時株主総会は、会社法第124条で決算後3カ月以内に開催すべきと定めており、「密閉・密集・密接」の“3密”を避けるべき現状下では、数千人が集まりかねない株主総会の開催は回避せざるを得ない。経済産業省も「株主総会を開催するリアルの『場所』を設けつつ、オンラインなどでの参加/出席を認める株主総会を実施することは、現行法上可能」との見解を示していた。
今後オンライン株主総会の開催に至っては、Microsoft Teamsライブイベント機能が功を奏する可能性は高い。
なお、同日発表されたSBテクノロジーの2020年3月期通期連結業績は、売上高が前期比15.7%増の583億2400万円、営業利益が同20.8%増の30億3500万円、経常利益が同32.4%増の30億3300万円の増収増益だった。