新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策として在宅勤務が推奨されている。在宅勤務が可能かどうかは業種によるが、対面での作業を伴わない企業でも、すぐに切り替えるところと、なかなか切り替えできないところとの差が出てきているという。35万人の社員の95%が在宅というIBMの幹部が、Box、Slack Technologiesの最高経営責任者(CEO)と働き方の現在と将来について対談した。
対談はIBMが米国時間5月5~6日にオンラインで開催した「Think Digital 2020」で行われ、IBMでクラウドとデータプラットフォーム担当シニアバイスプレジデントを務めるRob Thomas氏が、Box 共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のAaron Levie氏、Slack 共同創業者兼CEOのStewart Butterfield氏とオンラインでディスカッションした。
IBMのRob Thomas氏(左)、SlackのStewart Butterfield氏(中央)、BoxのAaron Levie氏(右)
IBMのThomas氏が「すぐに、35万人の社員の95%を在宅勤務に切り替えた」と述べれば、BoxもSlackも早期に在宅勤務体制にしたと応じる。「BoxのIT戦略はクラウドにあり、モダンなクラウド技術を使って迅速に適応できた」とLevie氏。
SlackのButterfield氏は、「ほんの3~5カ月前、コンサルタントに『1週間で全社を在宅勤務にできるか?』と聞けば、答えは『100%ノー』だった。やらなければならない状況に迫られると、不可能が可能になることを示した」と話す。
BoxのLevie氏は「顧客企業も多くがBox、ZoomやWebEx、Slackなどを使って以前から仕事をしており、すぐに在宅に切り替えている」と述べたが、今押し寄せているのは「支援が必要な企業」だ。「(新型コロナを受け)複数年がかりのIT戦略を、数週間または数カ月に加速しようとする企業が出てきている。これらはITアーキテクチャーの再考からスタートする必要があり、これらの企業を支援することにフォーカスしている」と続けた。
新型コロナで長期的IT戦略を加速させる動きが出ると話す、Box CEOのAaron Levie氏
Butterfield氏も、クラウドを受け入れていたかどうかにより差が出ているというLevie氏の意見に同意しながら、「これまで企業は対面やメールで意思決定を行い、成果を評価し、フィードバックしてきた。どんな技術スタックか、コミュニケーション文化にどのように投資してきたかのレベルによっては、(在宅勤務への)移行が難しいところもある」と述べる。Levie氏のBoxと同様に、Slackもこれらの企業の問い合わせを受けて必要な支援を行っているという。