総務省と情報通信研究機構(NICT)、ICT-ISACは5月15日、脆弱なIoT機器の調査とユーザーにセキュリティ対策を促すプロジェクト「NOTICE(National Operation Towards IoT Clean Environment)」の2019年度の状況を発表した。
NOTICEは、IoT機器の管理機能にアクセスするためのパスワードが初期設定のままでマルウェア感染などの危険性のある脆弱なIoT機器の把握と、その機器の利用者に設定確認などの注意を行う取り組みで、2019年2月に開始された。NICTが調査し、プロジェクトに参加するインターネットサービスプロバイダー(ISP)を通じて、利用者に注意喚起が行われている。
総務省によれば、2019年度末までに50社のISPがNOTICEに参加し、約1.1億のIPアドレスに対して調査が実施されている。このうちIDとパスワードが入力可能であったケースは約10万件で、そのうち特定のIDとパスワードによってログインができ注意喚起の対象となったケースは延べ2249件だった。
注意喚起の件数は、2019年8月まで毎月100件未満で推移したが、夏場に大幅な調査プログラムの改良などを行ったため、同年9月以降から増加し、2020年1~3月は毎月300件前後で推移している。総務省によれば、注意喚起を通じた対策が推進される一方、新規に特定される機器もあり、全体として大きな変化はないとしている。
NOTICEプロジェクトの2019年度の状況(出典:総務省)
また、2019年6月からは既にマルウェアに感染しているIoT機器の利用者に対してISPが注意喚起する「NICTER注意喚起」も行っている。ISPに注意喚起対象の通知が行われたのは1日当たり平均162件だった。2019年8月後半~10月上旬と、2020年2月下旬~3月初旬は、マルウェア「Mirai」の亜種が一時的に活発になり、通知件数が増加した。
総務省では、現時点で容易に推測されるIDやパスワードを設定していたり、既にマルウェアに感染したりしていると判明したIoT機器の数は少ない状況と推測している。しかし、今後もIoT機器への感染を狙うマルウェアの活動は継続していくとして、利用者には適切なIDとパスワードを設定したり、最新ファームウェアへのアップデートを行ったりするよう呼び掛けている。