日本マイクロソフトと神戸市は6月4日、新型コロナウイルス対策における協働を進めると同時に、働き方改革などの取り組みにおいて包括連携に関する協定を締結した。同日に神戸市庁で会見が行われた。
今回の協定は、「デジタルトランスフォーメーションの推進による働き方改革」「スマートシティ実現に向けたデータ連携基盤の推進」「デジタル人材育成・交流」「デジタルを活用した子どもや青少年の学びの支援」の4項目に関して、包括連携協定を結んだもの。協働で神戸市のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していくことになる。
両者の声明では、「先端技術の活用による行政課題解決およびイノベーションを通じた新たな価値創造により、持続可能で質の高い生活を送ることができる人間中心のスマートシティの実現を目指し、新型コロナウイルス対策を契機とする神戸市の一層のデジタルトランスフォーメーションの推進などに協働で取り組む」としている。
日本マイクロソフトが今回の4項目に渡って、自治体と協定を結ぶのは初となる。なお、同社は5月20日に、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室と「新型コロナウイルス感染症対策官民連携プロジェクト」の実施に関する協定を締結している。
神戸市の久元喜造市長
神戸市の久元喜造市長は、「令和時代は間違いなくテクノロジーが進化する。神戸市の目標はテクノロジーの進化を市民が享受し、人間らしい、人間スケールの街を作ること。その点で日本マイクロソフトとの包括連携協定はありがたい。協定を通じて、市民サービスの高度化、行政サービスの生産性の向上につなげたい」と語った。
日本マイクロソフト 執行役員常務 クラウド&ソリューション事業本部長の手島主税氏は、「新型コロナウイルスにより2年分のDXが2カ月で起きたと言われるが、急激な変化は後戻りせず、新たな地方行政の構築を支援したい。神戸市は、オープンで多様な組織と連携を進めている。久元市長は、知恵を集めて、それを行政の力にしていくこと、スピードを持って具現化していくことに取り組んでいる。神戸市に寄り添う日本マイクロソフトとして支援をしていきたい」と抱負を述べた。
「働き方改革」では、日本マイクロソフトが持つ知見を活用した職員向けオンライン研修の実施、テレワーク環境や災害時の対応、職員の安否確認を含むデジタルツール活用の推進などを支援していく。「スマートシティ実現に向けたデータ連携基盤の推進」では、スマートシティーの実現に向けたデータ連携基盤の検討や、海外スマートシティーのデータ連携基盤に関する調査研究の実施、市民との接点の改善など、スマートシティーサービスに関するパイロットプロジェクトなどを行う。
また、「デジタル人材の育成および人材交流」では、デジタル活用人材を育成するため、サービスデザイン思考ワークショップの開催、政策形成やビジネス創出でAI(人工知能)を安全かつ有効活用するためのAIビジネススクールの開催などが行われる。「デジタルを活用した子どもや青少年の学びの支援」では、家庭学習を補完するオンライン双方向通信などの充実化支援、子どもたちの主体的な学びを支援するさまざまなデジタルツールとその効果的な利用方法の提供、コミュニケーション教育ツールとしてのチャットボット活用の可能性を検討することなどが盛り込まれている。
日本マイクロソフト 執行役員常務 クラウド&ソリューション事業本部長の手島主税氏(左)と業務執行役員 デジタル・ガバメント統括本部長の木村靖氏
日本マイクロソフト 業務執行役員 デジタル・ガバメント統括本部長の木村靖氏は、「当社が持つ民間企業や地方自治体、中央政府に対する働き方改革の知見を活用し、神戸市のDXを支援する。『三密』を避けるための行政の働き方を最新にし、市民サービスのデジタル化を支援したい」と述べた。