RiskSenseが公開した、オープンソースソフトウェアの脆弱性に関するレポート「The Dark Reality of Open Source」(オープンソースの暗たんたる現状)によると、人気のある54のオープンソースプロジェクトを分析した中で、共通脆弱性識別子(CVE)が発番された脆弱性は2018年の421件から、2019年の968件に増加していたという。
レポートによると、これらのプロジェクトでは2015年〜2020年3月に2694件の脆弱性が報告されていたという。
なお同レポートは、Linuxのほか、「WordPress」や「Drupal」をはじめとする、人気の高い無償ツールを調査対象外としている。というのも、そういったツールはたいていの場合、しっかりと監視されており、セキュリティ脆弱性があったとしても大々的に報道され、その大半が比較的迅速に対処されるためだ。
そして同レポートでは、上記のプロジェクトほど知名度は高くないがテクノロジー/ソフトウェアコミュニティーに幅広く普及しているその他のオープンソース製品に目を向けている。これには「Jenkins」や「MongoDB」「Elasticsearch」「Chef」「GitLab」「Spark」「Puppet」といったツールが含まれている。
RiskSenseによると、今回の調査で同社が洗い出したセキュリティ脆弱性の多くは、公にされてから何週間もたった後に米国立標準技術研究所(NIST)の脆弱性情報データベース(NVD:National Vulnerability Database)に登録されていたという大きな問題が浮き彫りになったという。
これら54のプロジェクトでは多くの場合、脆弱性の発見からNVDへの報告までの平均日数が54日、「PostgreSQL」では平均8カ月となっている。
提供:RiskSense
サイバーセキュリティ企業やITソフトウェア企業はセキュリティ警告の発令や通知にNVDデータベースを利用しているため、こうした報告の遅延によって企業が攻撃の危険にさらされたままになる状況が生み出されている。
また、攻撃者によるエクスプロイトの作成や展開が可能になった結果、脆弱性の「兵器化」につながったケースもあったという。
RiskSenseは、分析した54のプロジェクトすべてのうち、脆弱性が兵器化された事例で最も多かったのは、自動化サーバーのJenkinsと、データベースシステムの「MySQL」であり、ともに15件だったと述べている。
提供:RiskSense
RiskSenseは「しかし、CVEに登録された脆弱性の数が多いからといって、兵器化された脆弱性の数も多いというわけではない」としている。
仮想化ソフトウェア「Vagrant」やコンテンツ管理システム「Alfresco」などでは、他のオープンソースプロジェクトよりも脆弱性の数は少なかったものの、兵器化されている割合が高い脆弱性もあった。
提供:RiskSense
オープンソースプロジェクトは今や、商用ソフトウェアプロジェクトのおよそ99%で用いられているとの調査結果もあるため、セキュリティ脆弱性がオープンソースプロジェクト内だけではなく、業界全体で取り組まれるような改善が必要になっているとRiskSenseは主張している。
「オープンソースプロジェクトによって、かつてないほどのペースで新たな脆弱性が生み出されている」ため、このことはより重要になっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。