オープンソースソフトウェアを手がけるSUSEの最高経営責任者(CEO)Melissa Di Donato氏は最近、あるイベントに参加した。そのイベントの参加者は、同氏を除けば全員、プロプライエタリーなクローズドソース企業の幹部だった。
同氏は、「彼らは皆、クラウドソーシングや、コミュニティーの醸成の重要性について話していた。そこで私は手を上げ、『ちょっと待って。オープンソースという1つの世界があるのを分かっている?オープンソースが何か、知っている?』と尋ねた」と語った。
同氏は、他の幹部らが少し当惑したように見えたとし、「これらの人々はそのテクノロジーが持つ可能性の大きさを認識していなかった」と述べ、「オープンソースは世界を揺るがしており、まるで地震が訪れているかのようだ」と続けた。
Melissa Di Donato氏
提供:SUSE
オープンソースソフトウェアというアイデアは何十年も前からあるとはいえ、ここ10年ほどで、特にクラウドコンピューティングの台頭とともに、企業向けテクノロジーの世界で中心的な位置を占めるようになっている。
オープンソースは、PC上で利用されているのか、スマートフォン上で利用されているのか、あるいは大規模なエンタープライズアプリケーションを支えるために用いられているかにかかわらず、その根本的な部分に変わりはない。それは、エンジニア同士が互いのアイデアをぶつけ合い、他のエンジニアらが生み出した成果物を用いて自らの成果を作り出した後、その成果をコミュニティーに還元するという大規模なソフトウェアエンジニアの集団だ。オープンソースは詰まるところ、イノベーションという宝の山であり、すべてはフリーなのだ。
こうしたコンテキストにおいては、Di Donato氏をはじめとする幹部らが、オープンソースは未来そのものだと確信している理由を理解するのは簡単だ。同氏は「今後の数年間について、極めて大きな自信を持っている」と述べ、「オープンソースの輪はかつてないほど大きく、豊かになる」と続けた。
同テクノロジーを熱烈に支持しているDi Donato氏だが、オープンソースの世界に身を置くようになったのは最近のことだ。同氏がSUSEのCEOに指名されたのは、前CEOであるNils Brauckmann氏の引退が発表された、わずか数カ月前のことだった。Di Donato氏はそれまで、ソフトウェア企業のSAPに籍を置いていた。
しかしDi Donato氏は時を移さずしてオープンソースの理解に取り組んだ。同氏は「SUSEに加わった際の私の100日計画は、100日間に100人の顧客と会い、話をすることだった。滅茶苦茶な計画だったが、97人まで達成できた」と述べた。