新型コロナウイルス感染症が広がる過程で、何とも心もとない実態をさらけ出してしまったのが、政府・自治体など行政のIT利用だ。どうすれば、日本の行政ITを強化できるのか。
コロナ対策で相次ぐ行政機関とITベンダーの連携
日本マイクロソフトとUiPath日本法人が5月20日、日本政府の内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室と、コロナ対策に向けたIT活用に関する協定をそれぞれ締結したと発表。国務大臣で新型コロナウイルス感染症対策副本部長を務める西村康稔氏と、日本マイクロソフト代表取締役社長の吉田仁志氏、UiPath日本法人 代表取締役CEO(最高経営責任者)の長谷川康一氏が、オンラインで締結式に臨んだ。(写真1)
オンラインでの締結式。右から、国務大臣の西村氏、日本マイクロソフトの吉田氏、UiPath日本法人の長谷川氏(出典:日本マイクロソフト)
政府が日本マイクロソフトと締結したのは「新型コロナウイルス感染症対策官民連携プロジェクトの実施に関する協定」、また、UiPath日本法人と締結したのは「新型コロナウイルス感染症関連対策に関するロボティックプロセスオートメーション(RPA)およびAI等の活用のための共同取り組みに関する協定」である。
また、日本マイクロソフトは6月4日、神戸市と「新型コロナウイルス感染症対策の実施と包括連携に関する協定」を締結。神戸市長の久元喜造氏と、日本マイクロソフト執行役員常務クラウド&ソリューション事業本部長の手島主税氏、同社業務執行役員デジタル・ガバメント統括本部長の木村靖氏がオンラインで共同会見を行った。(写真2)
オンラインでの共同会見。左から、神戸市長の久元氏、日本マイクロソフトの手島氏・木村氏(出典:日本マイクロソフト)
上記の2つの取り組みは、締結式や共同会見が行われたので目立ったが、行政機関がコロナ対策でITベンダーのサポートを受ける動きは、このところ活発化している。
だが、こうした動きは裏を返せば、行政のIT化が今回のコロナ騒動で何とも心もとない実態をさらけ出してしまっていることを物語ってもいる。上記の締結式や共同会見を見て、国民や市民は行政の姿勢に賛同しつつも「とにかく速く成果を出してほしい」というのが本音だろう。