調査

在宅勤務のセキュリティ、調査で浮き彫りになった課題--IBM

Steve Ranger (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2020-06-30 08:30

 この2カ月の間に、多くの企業が、リモートワークを取り巻くセキュリティリスクを管理するためのシステムを慌ただしく導入している。在宅勤務は今後、かなり一般的なものになると予想されるが、セキュリティに関しては、まだ改善の余地が大きそうだ。

 IBMの調査で、多くの労働者にとって、リモートワークは初めての経験だったことが明らかになった。回答者の80%以上は、新型コロナウイルスの感染拡大前は、在宅勤務の経験がほとんどないか、まったくなかったと回答していた。

 しかし、回答した米国の2000人のリモートワーカーのうち約半数は、指針となるような新たなセキュリティポリシーは定められていないと述べている。また、ほぼ同じ割合の回答者が、新たに自宅に構築した仕事環境のセキュリティについて危惧していた。

 IBMは、「以前は、ビジネス活動は保護されたオフィス環境で行うものであり、特定のポリシーに従って監視されていた。ところがそれが、セキュリティが低い可能性がある新しい環境に慌ただしく移行した」と述べている。同社は、現状を示す例として、以前は厳しく管理されたコールセンターで働いていたが、今では自宅で機密性の高い顧客情報を管理しているカスタマーサービス担当者の例を紹介している。

 労働者の多くは、雇用主がリモートワークでも個人を特定可能な情報の安全性を守る能力を持っていると信頼しているようだ。しかし一方で、回答者の半数以上は仕事に個人的に所有しているノートPCを使っていた。また61%は、それらのデバイスの安全を適切に守るためのツールを雇用主から提供されていないと述べている。

 回答者の半数以上は、厳しい規制の対象となっている情報を、在宅勤務中にどう扱うべきかについての指針が与えられていないと答えていた。さらに回答者の3分の2は、新しいパスワード管理ガイドラインは提供されていないと答えている一方で、3分の1は、業務用のアカウントにもパスワードを再利用していると述べている。

 別の調査では、ユーザーがリモートワークで直面している問題によって、ITスタッフの業務量が増えていることが明らかになっている。この調査では、リモートワークで頻繁に起きているセキュリティ問題として、悪質な電子メールや、コンプライアンスに従わない従業員の行動が挙げられている。さらにまた別の調査では、従業員の半数が、在宅勤務中に普段よりもリスクの高い行為が見逃される可能性があると答えていた。中には、効率よく仕事を片付けるためにそうすることが必要だったと答えた回答者もいた。

 こうしたことを考えれば、Gartnerが2020年のIT支出総額は減少すると予想しているにも関わらず、セキュリティソフトウェアに対する支出、特にクラウドのセキュリティとデータのセキュリティに関する支出は増えると予想していることも、当然だと言えるだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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