RPA(ロボティックプロセスオートメーション)の活用が本格化してきている。国内大手企業90社を対象に2019年の夏に実施した調査(日経コンピュータ)によると、半数の企業が2017年に導入に乗り出し、活用を続けていることが分かった。
RPA導入の最大の目的は、社員による作業時間の削減とそれに伴うコストの圧縮効果である。同じ調査によると、回答した8割の企業が年5万時間の削減に成功、1割は6~20万時間、1割は年50万時間を減らしたという。
50万時間以上という大幅な成果を上げた企業として、205万時間を削減したという三井住友フィナンシャルグループや人工知能(AI)活用を含めて76万8000時間を圧縮したソフトバンクグループなど5社を挙げている。
単純作業をロボットに任せることによるコスト削減という事務的なイメージのあるRPA。しかし、その効果はそれだけではないようだ。それは、従業員の心理的な負担を軽減する効果である。
売り上げなどのデータをExcelで管理しているような企業があり、経営層にレポートするために毎日集計作業をしなくてはならない経理担当者がいたとする。各拠点の数字がかかれているファイルを開き、日々集計するという作業は単純だが、1つでも間違えれば集計データは狂ってしまう。また、社員の出張費などの経費に問題を見つけた際に、それを指摘するといった役回りをしなくてはならないことがある。
こうした作業の心理的負担は想像以上に大きいという。RPAはこうした作業を、何の抵抗もなく、淡々と、場合によっては真夜中でも続けられるのである。
これは、新型コロナウイルス感染症によって続くテレワークでの働き方を含め、今後人口減少を前提に進む企業の労務管理においても、1人当たり生産性を高める切り札となり得る。
テクノロジー面では、今後RPAとAI、RPAとOCR(光学文字認識)の連携により、より複雑な作業をこなすことが期待されている。RPAのさまざまなメリットを既に十分実感して活用している企業があることに、留意しておく必要がありそうだ。
RPAの今後について、参考になる記事を集めた。