北大と日立が開発した2軸CBCT機能と2軸四次元CBCT機能、製造販売承認を取得

NO BUDGET

2020-11-18 07:00

 北海道大学大学院医学研究院の研究グループと日立製作所(日立)は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「橋渡し研究戦略的推進プログラム」などの支援により、新たな高精度陽子線治療のための2軸CBCT(Cone Beam CT)機能や、2軸四次元CBCT機能を開発し、製造販売承認を取得した。

 2軸CBCT機能により、従来のCBCT機能の課題であった撮影時間の大幅な削減が可能となり、患者負担の軽減及び治療のスループット向上によるCBCTの実用性の向上が期待される。また、2軸四次元CBCT機能により、二次元のX線画像や従来のCBCTでは視認が困難であった動く部位における腫瘍及び周辺組織の鮮明な三次元画像を取得することが可能となり、患者位置決め精度の飛躍的な改善が期待される。

2軸CBCTの概要(出典:北海道大学、日本医療研究開発機構、日立)
2軸CBCTの概要(出典:北海道大学、日本医療研究開発機構、日立)
4次元CBCTの概要(出典:北海道大学、日本医療研究開発機構、日立)
4次元CBCTの概要(出典:北海道大学、日本医療研究開発機構、日立)

 CBCTは、コーンビームCT(Cone Beam CT)のことで、治療装置のサイドに装備された撮影装置を使って、コーンビーム(円錐状のビーム)で撮影するCTを指す。

 通常の二方向からの二次元X線画像から得られる骨の位置、動体追跡技術によって得られる腫瘍の動きの情報に加えて、腫瘍周辺の正常組織、特に軟組織の位置/形状が把握できれば、腫瘍への陽子線照射精度を高めると同時に、正常組織への被ばくのリスクを大幅に低減することが可能となる。

 北海道大学と日立は、これを実現するため、陽子線治療において、治療ビームの出射方向を患者を中心に回転させ、あらゆる角度からの治療を可能とする「回転ガントリー」搭載型CBCTシステムを共同開発し、2015年3月に医薬品医療機器等法に基づく医療機器の製造販売承認を取得した。

 しかし、従来のCBCTは撮影に時間を要する、また動く部位の撮影では鮮明な画像が得られないという課題があり、適用可能な患者及び疾患に制約があった。

 北海道大学と日立は、これらの課題を解決するため、2軸CBCT機能と軸四次元CBCT機能を開発するに至った。

 2軸CBCT機能は、回転ガントリーに搭載された互いに直交する二対のX線撮像系を同時に用いて撮影を行う技術で、CBCT撮影に要する時間をほぼ半減させることが可能となる。

 2軸四次元CBCT機能は、二対のX線撮像系を同時に用いることで体内の腫瘍内あるいは腫瘍近傍に留置された金マーカーの三次元座標をリアルタイムで算出する動体追跡技術を応用し、金マーカーが計画位置から数ミリ以内に存在する状態で撮影された投影画像のみを用いてCBCT画像を再構成する技術。呼吸などにより動く部位であっても、鮮明な体内の三次元画像を取得することが可能となる。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]