日立製作所は、東京ドームでの感染対策関連の技術実証に「人流可視化ソリューション」を活用する。同社はこの実証で、来場者の滞留状況などの人の流れを可視化し、スポーツイベントにおける感染対策、混雑緩和や誘導策の検討などを支援する。
場内に設置する102カ所のカメラのうち、十数カ所のカメラ映像を対象に、来場者の個人が特定されないよう、人型アイコンで「止まっている人」と「動いている人」を自動認識して色別表示する。来場者の滞留状況などの人の流れを可視化することで、滞留者が多いエリアの誘導係員を増員するなど、混雑緩和や誘導のための施策検討を支援する。
この実証は、球場内外の新型コロナウイルス感染対策と来場者のプライバシー保護を両立させるための新技術の試験的導入に関する取り組みの一つ。内閣官房が主催する新型コロナウイルス感染症対策分科会の承諾を得て、東京都の協力のもと読売新聞東京本社と読売巨人軍が実施する。11月7、8日に東京ドームにおいて開催するプロ野球公式戦(読売ジャイアンツ対東京ヤクルトスワローズ)を対象としている。
人型アイコンによる人流可視化のイメージ
人流可視化ソリューションは、日立独自の人流計測技術と画像処理技術を組み合わせ、既設のカメラ映像から人数や位置、移動速度や移動方向を検知して、人型のアイコン画像を生成・置換して背景画像に表示する。これにより、個人を特定する特徴を排除しプライバシーを保護しながら混雑状況を直感的に把握することができる。
同ソリューションは、これまで東京急行電鉄の駅構内の混雑状況などの様子を利用者のスマートデバイスに配信するサービス「駅視-vision」をはじめ、公共交通機関の混雑緩和に向け導入されている。