本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、日立製作所が提供する「製造現場における製品検査や設備保全を対象に音響データから異常音を検知するサービス」を取り上げる。
製品検査や設備保全を対象に音響データから異常音を検知
日立製作所は先頃、製造現場における製品検査や設備保全を対象に、製品の打音や設備の稼働音などの音響データから異常音を検知するサービスの提供を開始したと発表した。
新サービスは、日立の自社工場での実績やノウハウをもとに実用化したマイク機能搭載の無線センサーなどにより収集した音響データを、同社が独自に開発した高精度に音響を解析する人工知能(AI)技術で解析し、製品不良や設備故障による異常音を検知するものである。
これにより、検査員の経験に基づいて行われていた製品や設備の聴音点検の高度化、効率化が可能となり、品質トラブルや設備故障を未然に防ぐことで、安定した製造現場の操業や設備稼働および企業の品質保証体制の強化を支援するとしている。
新サービスは製品検査と設備保全の用途に合わせて、音による製品検査を可能とする「IoTデータモデリングサービス―IoTデータ監視サービス」と、音による設備保全を可能とする「設備点検自動化サービス―異音検知システム」の2つからなる。
前者は、製品の稼働音や加工音、打音などを、音の特徴や製造現場の環境に適した市販の汎用マイクで収集し、異常音を検知するサービス。後者は、設備の稼働音を防水、防じんでバッテリー駆動型のレトロフィット無線センサー(マイク)で収集し、異音を検知するサービスである。
これらのサービスを利用すれば、従来、検査員の経験やノウハウに基づいて現場で行われていた判定を、データ解析に基づいた定量的な判定により補完することで、安定した品質の維持や遠隔での設備監視などが可能となる。
また、AI技術を使った解析によって、検査員では気づかなかった新たな特徴まで検知できるようになるため、検査の品質をより向上させ、企業の品質保証体制の強化を支援することができる。(図1)
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