レッドハットは11月26日、エンタープライズ向けKubernetesプラットフォームの最新版「Red Hat OpenShift 4.6」の概要とエッジコンピューティング/マネージドサービスの強化について発表した。
製品統括・事業戦略 担当本部長の岡下浩明氏は、市場のニーズとして「いかにスピーディーに新しいビジネスを立ち上げていくのか」「顧客接点が限られる中で、いかにデータを上手く活用していくのか/AI(人工知能)のような技術を使ったインテリジェントな仕組みをいかに素早くリリースしていくのか」「ビジネスが拡大していく/さまざまな展開をしていく中で、システムがいかにスケールしていくか」という大きく3つの課題が見られることを指摘。こうした課題に対応するためにユーザーが構築するプラットフォームについては「オープンでインテリジェントなDX(デジタル変革)プラットフォームになると考えている」とした。

発表内容の概要

コンテナー市場拡大に向けた同社の取り組み
また、同社が長年掲げている“オープンハイブリッドクラウド”というテーマについては「全てのデータ、アプリケーションが場所やデプロイの制約を問わず、リアルタイムに連携していく、というところが求められる姿ではないか」と語り、具体的な場所として“プライベートクラウド”“パブリッククラウド”そして今後市場として大きく拡大すると目される“エッジ”を視野に入れ、「これらを一枚岩のプラットフォームとして展開するDXプラットフォーム」に対するニーズが現実として存在しているとの認識を示した。
その上で、同氏はビジネス戦略として「ビジネスレジリエンス(回復力)、すなわち“ビジネスを立て直す”“新しいものにしていく”ためのプラットフォームを提案していく」とした。
続いて、テクニカルセールス本部 クラウドソリューションアーキテクト部 OpenShiftアーキテクトの北山晋吾氏が詳細を説明した。まず、OpenShift 4.6については「エンタープライズレベルの信頼性維持」「エッジでのワークロード対応」「開発者体験の向上」の3つの観点からアップデートのポイントが紹介された。

OpenShift 4.6の主なアップデート
エンタープライズレベルの信頼性維持に関しては「延長アップデートサポート対応」が注目される。これは、Kubernetesによる更新サイクルの速さがユーザーの負担になっていることに対応したもので、今回発表されたバージョン4.6がいわゆる「長期サポート版」と位置付けられる形になり、フルサポートフェーズの終了日から14カ月間のEUS(Extended Update Support)が提供される予定だ。さらに、4.6 EUSのサポート期間中に次のEUSバージョンがリリースされる予定だ。

OpenShift 4.6の延長アップデートサポートの概要
エッジでのワークロード対応という点に関しては、エッジ用の軽量型OSとして新たに「Red Hat Enterprise Linux 8.3」ベースのOS環境が用意され、小さなフットプリントに対応するOpenShiftと合わせてエッジにコンテナー実行環境を展開することをサポートする。

エッジ向けコンテナー環境強化の取り組み
開発者体験の向上では「OpenShift Serverless 1.11」からEventingが一般提供(GA)になった点と、KubernetesネイティブなJavaフレームワークである「Quarkus」がOpenShiftサブスクリプションに含まれるようになった点が主なポイントとなっている。
マネージドサービスの強化に関しては、「Red Hat OpenShift Platform」と「Ansible Automation Platform」との統合(Tech Preview)や、価格改定(平均75%値下げ)などが発表された。