エッジコンピューティング時代に向け、レッドハットが「RHEL」「OpenShift」強化

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2020-11-26 07:30

 Linuxとクラウドの分野をリードする企業であるRed Hatは、オンラインで開催された「KubeCon」で、「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)と同社のKubernetesプラットフォームである「Red Hat OpenShift」のエッジコンピューティング関連の新機能をお披露目した。これらの新機能を活用すれば、小規模なハードウェア構成でもRHELを安定的に運用することができる。またOpenShiftに関しては、新たにリモートワーカーノードアーキテクチャーがサポートされ、空間的に制約があるリモートのデプロイメント環境でもKubernetesを利用しやすくなった。

 Red Hatがこのような取り組みを進めているのは、The Linux Foundationのネットワーキング担当ゼネラルマネージャーであるArpit Joshipura氏が予想しているように、「エッジコンピューティングが2025年までにクラウドコンピューティングを追い抜く」可能性が高いと考えているからだ。IDCの「Worldwide Edge Spending Guide」によると、2024年に世界エッジコンピューティング市場は2506億ドルに達し、エッジ支出の約21%をエッジ関連ソフトウェアが占めると予想されている。Red Hatはこの市場のシェアを狙っている。

 同社はまた、エッジコンピューティングにはオープンなハイブリッドクラウドが必要だと確信しており、何年も前から、将来、RHELとKubernetesをベースとするハイブリッドクラウドが勝利することを考えて取り組みを進めてきた。

 RHEL 8.3でエッジコンピューティング関連の機能強化が行われたのもその一環だ。これには、以下のような内容が含まれる。

  • 「Image Builder」でエッジ用のOSイメージを素早く作成できるようになった。これによってIT部門は、エッジコンピューティングに固有のアーキテクチャーに関する幅広い問題に関して最適化しつつ、特定のデプロイメント環境のニーズに合わせてカスタマイズした、専用のイメージをより簡単に作成できるようになる。
  • リモートデバイスのアップデートをミラーリングし、次にデバイスがリブートされるか電源が投入された際にステージングと適用を行う機能。ダウンタイムやIT部門の手動による対応を減らす上で役立つ。
  • OTA(無線)経由でのアップデートの最適化。必要なコードは送信しつつ、送信するデータの量は小さくなる。接続性が限られていたり、断続的にしか接続できないような場所でアップデートを行うのに適している。
  • OSTree」(「libostree」とも呼ばれる)の機能を使用した、インテリジェントなロールバック機能。ユーザーが、ワークロードに合わせた正常性チェックを行って競合やコードの問題が起きていないかを調べ、問題が検出された場合は、自動的に問題がなかった最後のアップデートにイメージを戻すことができる。これによって、エッジで不必要にダウンタイムが生じるのを防げる。

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