多くの人が引き続き、在宅で仕事や学習を行い、娯楽を楽しむ必要があることで、PCの需要が高まっている。
PC市場は長期にわたって低迷していた。主に、スマートフォンなどのデバイスが台頭したことで、多くの人にとってPCの魅力が低下したためだ。特に一般消費者は、アップグレードの頻度が一層控えめだった。
しかし、コロナ禍で在宅勤務が大幅に増加し、ビジネス用のノートPCとともに、自宅でビデオ視聴やゲームを楽しむためのコンシューマーデバイスへの大きな需要が生まれている。
調査会社のIDCによると、EMEA(欧州、中東、アフリカ)地域におけるトラディショナルPC(デスクトップPC、ノートPC、ワークステーション)の出荷台数は、2020年に前年比12.7%増の8210万台となる見通しだ。IDCは、2020年から2021年前半にかけて堅調な需要が続くとしている。
またIDCは、西欧における2020年第4四半期の商用市場は再び成長(前年比7.1%増)軌道に戻ると予想している。ロックダウンと外出制限によってビジネスモビリティへの移行が加速し、製品構成の変化が進んで、ノートPCが選ばれるようになっているという。西欧のコンシューマー市場は同時期に前年比28.0%成長し、3四半期連続で大幅な成長を遂げる可能性がある。
IDCの西欧におけるパーソナルコンピューティングデバイス部門シニアリサーチアナリストであるLiam Hall氏は、「新型コロナウイルス感染拡大の第2波とともに、企業が依然として永続的なリモートワークのための作業環境に移行していることで、今後も据え置き型のデバイスへの需要が浸食されるだろう」と指摘した。また、学校や大学がリモート学習に取り組む中、教育分野全体でノートPCの展開が続いていることも、売上を押し上げる可能性がある。
デスクトップPCの売上は、長期的には縮小する可能性が高いが(現在の市場占有率は20%)、強力なマシンを求めるゲーマーによる需要で、短期的にやや増加する可能性もある。IDCは、デスクトップは価格に敏感な消費者に対して最高のスペック対コスト比を提供するとしている。
IDCは、「ロックダウン期間中に、リモート学習や娯楽のためのデバイスを家族全員に用意する必要があることから、ノートブックは引き続き望ましいフォームファクターであり、今後も並外れた成長をみせるだろう」と説明した。
長期的には成長の見通しは乏しく、2024年までに売上が再び大幅に減少し、従来型のデスクトップとノートPCが影響を受けるとIDCは予想している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。