コロナ禍は、流通業界や食料雑貨販売業界向けのロボットを提供する企業に苦難と大きなチャンスの両方をもたらした。サプライチェーンや製品の売れ行きに予測不能な負荷がかかっていることで、サプライチェーンの効率を向上させる必要性が高まっている。安全性確保手順や新型コロナウイルス感染症によって労働力が制限されたことも、さまざまな業界に打撃を与えた。
2020年に得られた教訓は、2021年のロボット業界における優先事項やトレンドを占う上で役に立つ。こうした予想は常に眉につばを付けて聞くべきだが、2021年の一連の予想は、多くの教訓や苦闘の経験が反映されたものだ。
筆者は、2021年のロボット業界について検討するために、Badger Technologiesの最高経営責任者(CEO)Tim Rowland氏に連絡を取った。Badger Technologiesは、設計、製造、サプライチェーン、製品管理などの包括的なサービスや、自律型ロボットを利用した小売店向けの自動化ソリューションなどを提供している製造業ソリューション企業であるJabilの製品部門だ。Rowland氏は、新型コロナウイルス感染症から大きな悪影響を受けた一方で大きな進化の可能性を秘めている幾つかの業界の2021年を予想するに当たって、絶好の立場にいる人物だと言っていいだろう。
1.商品の正確な位置を特定するロボットが普及する
Rowland氏は、「自律型ロボットは、新型コロナウイルス感染症がまん延する中、店舗や倉庫で幅広い役目を果たすようになった」と述べ、「2021年にはこの流れがさらに勢いを増す。データ収集用のロボットは、リアルタイムで最新の在庫情報と商品の正確な位置情報を集め、モバイルショッピングアプリやオンライン注文のピッカー、商品の店舗受け取りサービス、店内の買い物客や従業員などとその情報を共有している」と続けた。
これは数十万点単位の商品を扱う大規模な小売店では特に重要で、この規模の店舗では、商品の位置をピンポイントに特定できるようにすることで生産性が大きく向上する。Walmartは最近、ロボットで陳列棚をスキャンする技術を提供する企業であるBossa Novaとの契約を解除したが、Rowland氏はこの技術分野の将来は明るいと考えている。
2.多目的ロボットが複数のタスクをこなせるように
これまでの自動化ソリューションは、多くの場合、特定のタスクに特化したものだった。しかしRowland氏によれば、それはもう過去の話かもしれないという。
「自律型のロボットはさまざまな作業を扱うことができる。『ペイロード』とも呼ばれるこの作業は、さまざまな要件に対応するためのプログラムで、これには例えば在庫管理や危険検知、セキュリティチェック、表面消毒作業などが含まれる。今後は、特定の業務ニーズに合わせた、小売店が利用できる自動化されたワークフローの組み合わせやマッチングの選択肢が増えていくだろう」