クアルトリクスは2月22日、従業員エンゲージメントに関する調査結果を発表した。同日の記者会見で説明したEX(従業員体験)ソリューションストラテジーディレクターの市川幹人氏は、コロナ禍での取り組みにより従業員エンゲージメントが向上しているとした。
調査は2020年10~11月、日本を含む20カ国/地域で18歳以上の正社員を対象に実施した。有効回答は1万1864人(日本では800人)。
クアルトリクスEXソリューションストラテジーディレクターの市川幹人氏
まず、市川氏は、同社が考える「従業員エンゲージメント」の定義を説明。同社では、自分の会社や組織の⽅針や戦略に共感し、誇りを持って⾃発的に仕事に取り組んでいる⼈々を「エンゲージしている従業員」と捉えている。従業員エンゲージメントは、「仕事を成し遂げるために、期待以上の貢献をしようと思う」「自社を素晴らしい職場として、知⼈に勧めると思う」「自社で働くことを誇りに思っている」「転職はほとんど考えない」「仕事を通し、個⼈として達成感を得ている」という5つの項目で測定した。
2020年の従業員エンゲージメントは、2019年と比較して日本/グローバルの両方で向上した。この項目の数値は、エンゲージメントの項目に対する肯定的な回答「⾮常にそう思う」「そう思う」の比率を平均して算出。日本では2019年の35%から12%上昇の47%、グローバルでは、同53%から13%上昇の66%となった。
この背景について、市川氏は「コロナ禍で働き方を変化せざるを得ない中、企業が従業員をサポートするためにさまざまな対策を取ったことで、企業に対する従業員の信頼感が高まったのではないかとわれわれは推察している」と述べた。
では、どういった要因が従業員エンゲージメントを左右するのだろうか。同社は、エンゲージメントの項目に対する回答と相関が強い項目を上位5つ抽出(図1)。2019年は「経営陣の意思決定に信頼感がある」「担当業務と会社の⽬標が関連している」「良い仕事をしたら評価される」などだったが、2020年は「自分のチームに誇りを持っている」「会社の一員であると実感している」「仕事をする時に安心感がある」などに一変していた。
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この変化に関して、市川氏は「リモートワークの中でいかに連帯感を持ち続けられるかが重要になっている」と説明した。
こうした連帯感は近年、「帰属意識」とも言われている。同調査では、「自分は会社の⼀員であると感じる」という項目に対し、60%が肯定的な回答をしていた(図2)。帰属意識に影響を与える要因には、「職場で敬意を持って接してもらっている」「⾃分のチームが⾏う仕事を誇りに思う」「社内では、オープンで率直なコミュニケーションが行われている」などがあった。
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