山口フィナンシャルグループ(山口FG)と日本マイクロソフトは3月25日、2020年10月に発表した連携拡大に基づいて、広島県に「Azure Hiroshima Base」を開設した。Azure Baseは、Microsoft Azureを活用したパートナーソリューションの体験や、最新技術の実証実験などを目的とした施設。全国12拠点とオンラインで展開される。
Azure Hiroshima Baseのオープニングセレモニーで日本マイクロソフト 執行役員 コーポレートソリューション事業本部長の三上智子氏は、「デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けて、何から手をつけていいか分からない経営者に、地元企業と強固な関係を持つ山口FGがDX推進の担い手になること。Azure Hiroshima Baseを通じて、DXの種を生み出すことを期待したい」とコメントを寄せた。
(左手から)もみじ銀行 頭取の小田宏史氏、山口FG 代表取締役会長 グループCEOの吉村猛氏、広島県 知事の湯﨑英彦氏、日本マイクロソフト 執行役員 コーポレートソリューション事業本部長の三上智子氏、書道家の万美氏(写真は山口FG提供)
山口FGは、地域のDX推進に取り組む。マイクロソフトと2020年10月14日に包括連携協定を締結し、大きな変化が生じたという。その1つが、Microsoft Teamsを用いた非対面営業の定着だ。法人営業部門の非対面営業率は44.1%に高まり、2020年10月時点で面談件数が5万2240件から6万3040件に増加したという。これまで379社にクラウドサービスを提案した実績があり、このうち38社がDXのコンサルティングを受けている。
今回のAzure Hiroshima Baseは、地域のDX拠点を担う。地域企業への技術の導入支援と最新技術の体験、アート指向、コワーキング空間と、3つのコンセプトから成り立つと関係者は説明した。施設には山口FG子会社のデータキュービックに所属する“テック女子”約50人のうち約10人が常駐し、地域企業のデジタル化支援やクラウドサービスの提案、AI(人工知能)のビジネス活用、データドリブン戦略などのコンサルティングに対応する。
「テック女子」によるAzure Hiroshima Baseの説明(同)
また、ヘッドマウントディスプレイによるMixed Reality(=MR、複合現実)体験、Azure Hiroshima Base前の東西に横断する広島市・平和大通りの通行量や入店数を測定して予測する仕組みなども用意。Azure Base各拠点で開催されるセミナーやイベントへの参加拠点になる予定だ。この他にも既存の金庫室をリニューアルし、「五次元空間」として外界とのつながりを絶った特殊な空間としてAIアート作品を展示。2階や3階はコワーキング空間で、1階には複数の喫茶店を用意し、金融相談や専用室で資産運用担当者による助言を受ける仕組みも用意する。
Azure Hiroshima Baseをイメージしたライブペイントも開催した(同)
Azure Hiroshima Baseのオープンを記念したライブペイントで、書道家の万美氏が、「和敬清寂(わけいせいじゃく:茶道において主人と客は心なごやかに互いを敬い、茶室や茶道具などに清楚・質素を心がけること)」の「和敬」を書き上げ、「日本マイクロソフトの最新技術や各喫茶店に敬意を払いながら仕事を楽しむ。街の歴史にも敬意を払いながら、新たな関係を築くことを期待したい」と書き上げた文字の意味を説明した。広島県知事の湯﨑英彦氏も、「DX推進、地域活性化、街作りと3つの意義がある」とコメントを寄せた。