企業が使用している技術スタックが不十分だと、顧客エンゲージメントや営業から、生産やイノベーションまで、あらゆる面で競争に不利に働く可能性がある。それだけでなく、古い技術や煩わしい技術、分かりにくい技術は、優秀な人材の獲得や維持にも悪影響を及ぼす可能性があることが明らかになってきている。そして、人材の獲得や維持は、コロナ禍が収まり労働市場の競争が激しくなるにつれて難しくなり、その重要性が増していくとみられる。
確かに、米国や世界の経済が新型コロナ前の水準まで回復するには何年かかかるだろう。米議会予算局は、米国の雇用水準が新型コロナ前の水準に戻るのは2024年だと予想している。しかし、エンタープライズITの大幅な転換には数年かかることを考えれば、今から自社の技術スタックを評価して、地理的に分散したデジタルワーカーに適したツールを備えているかどうかを確認し、もし自分たちが使っている技術が成功を妨げていると分かれば、その問題を解決すべきだ。
G2の「State of Software Happiness Report 2019」では、次のように指摘している。
- 調査対象の52%は、「ソフトウェアの不足や不適切なソフトウェアが原因で業務で不満を感じたことがある」と回答した。
- 24%は適切なソフトウェアが利用できないことを理由に「転職を検討したことがある」と述べている。
- 13%は、雇用者に使用を義務づけられたソフトウェアが原因で、実際に仕事を辞めたことがあると答えた。
- 95%は、業務に今よりもよいソフトウェアを利用できれば、「非常に満足」または「満足」するだろうと回答した。
- 回答者の86%は、業務により多くのソフトウェアを利用できれば、「非常に満足」または「満足」するだろうと述べていた。
新型コロナウイルスの流行によって、企業がオフィスを閉鎖し、ほとんどのオフィスワーカーが在宅勤務になると、従業員の仕事に対する満足度に対するテクノロジーの影響はさらに増した。Adobe Workfrontが先日公表したレポート「The 2021 State of Work」では、次のようなデータが紹介されている。
- 米国の労働者の32%は、雇用者が採用している技術が「良い仕事をするための障害になっていた」ことが原因で仕事を辞めたことがあると回答した。新型コロナウイルス前には、同じ回答をした労働者は22%だった。
- 回答者の49%は、「業務で使用しているテクノロジーに不満やいらだちを感じた場合、今の仕事を辞める可能性が高い」と述べている。
- 技術が古い、あるいは使いにくいという理由で、就職の話を断ったことがあると答えた人の割合は、2020年の2~3月から2020年11~12月までの間に12ポイント増加した。
- 一方、従業員が優れた技術を使っていると聞いて企業の求人に応募したと答えた人の割合も、2020年の2~3月から2020年11~12月までの間に7ポイント増加している。