コロナ禍が収まる様子が見えない中、フルタイムの在宅勤務で働く期間が長引いている従業員の多くに、オフィスから離れた生活の悪影響が見え始めている。
しかし、HP Inc.が新たに発表した調査レポートでは、社会状況が思わしくない中でも、従業員は自分の将来の働き方に関するビジョンを見つけようとしていることが明らかになった。同社は、「エンパワーされた従業員」の増加という新たなトレンドについて指摘している。
HPによれば、エンパワーされた従業員は、生涯学習の波を乗りこなしながら、自分が持つスキルを進化させ続けていくという。それらの人々は、柔軟な勤務形態が得られる雇用契約を選び、雇用者にトレーニングや福利厚生のためのリソースの提供を期待する。重要なのは、それらの人々が敏感にさまざまなキャリアを検討し、自分の情熱を追いかけることに貪欲になると考えられることだ。彼らの選択肢には、自ら起業することも含まれる。
こうしたことはすべて、コロナ禍の直接的な結果として起きる可能性のあることだが、現時点では、一部の労働者にはそのような景色は見えていないかもしれない。この調査(対象は米国、英国、フランス、イタリア、ドイツ、スペインのオフィスで働く労働者1000人)では、米国と欧州の従業員の半数近くが、パンデミック中のある時点で労働時間を減らしていることが明らかになった。特に影響が大きかったのは、ジェネレーションZの労働者だったという。
従業員の3人に1人は、オフィスに通勤できないことによって士気が低下したと認めている。また、業務中に気が散り、仕事にストレスを受けやすくなっていると感じている回答者もいた。
それに加え従業員には、雇用者が自分たちを十分に支援していないという共通認識があるようだ。米国と欧州の従業員のうち、リモートワークに関して、雇用者から新しい働き方のヒントや、データセキュリティのベストプラクティスなどについて指導を受けた人は、4分の1未満だった。
しかしHPの調査によれば、在宅勤務で連日働くことには潜在的な難しさがあるにもかかわらず、労働者は大きな視点からものを考えていることが分かった。また全体として見れば、回答者は将来に対して前向きだった。調査対象の従業員の過半数は、今回の危機によって生まれた新しい働き方は、自分たちが労働環境を良い方向に変えることを可能にすると考えている。
この数カ月、労働者は自分たちの「9時5時」が将来どうなるかを考えており、それに備えている。調査では、多くの従業員が継続的な学習やスキルアップが成功の鍵だと認識しており、時間を無駄にすることなく自分たちの再トレーニングを行っていることが明らかになった。