海外コメンタリー

バイデン政権のインフラ計画でドローンが果たす役割--American RoboticsのCTOに聞く、その可能性

Greg Nichols (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2021-06-04 06:30

 米国の Joe Biden大統領が発表した巨額のインフラ計画が目指すのは、米国全土を対象とした道路の整備、ブロードバンドアクセスの拡大、配電網の改善、そして製造分野への多額の投資だ。すばらしい計画に思えるが、話はそう単純ではない。

The role for drones in Biden’s infrastructure plan
 

 リソースを配分し、投資を管理するためには、対象となるインフラをどう検査するかを考える必要がある。現在の人員では、すべてのインフラを効果的に検査することは不可能だ。信頼性のある検査ができなければ、修繕費用を合理的に見積もることもできない。

 そこでドローンが登場する。米国が国内のインフラをモダナイズし、未来に備える上で、ドローンが重要な役割を果たすことは間違いない。ドローンがあればインフラの検査を迅速に進められるだけでなく、配電網や道路の深刻なトラブルも事前に検知できる。Goldman Sachsの予測では、農業、鉱業、エネルギー、インフラ等の業界で高まるデータ収集のニーズを追い風に、ドローン市場は1000億ドル(約11兆円)規模に拡大する見込みだ。ドローン産業はすでに揺籃期を脱し、本格的な発展期に入ろうとしている。Biden大統領のインフラ計画は、その転換点となるかもしれない。

 新しい自律型ドローンは、企業の検査能力をかつてないほど高め、インフラの耐用年数を伸ばすだろう。しかし、このビジョンを実現するためには、いくつものハードルを乗り越えなければならない。多額の予算配分が議論されるなか、こうしたハードルを正しく理解することが非常に重要になっている。

 先日、米国のインフラ改革に商用ドローンが果たす役割について、American Roboticsの共同創業者で最高技術責任者(CTO)のVijay Somandepalli氏と話をする機会を得た。同社は米連邦航空局(FAA)から、人のオペレーターなしで完全自律ドローンの飛行を認可された初の、そして現時点では唯一の自律型商用ドローンの製造会社だ。彼はドローンが大規模インフラの整備や米国の商業の未来に果たす重要な役割について刺激的なビジョンを語ってくれた。

 Greg Nichols(以下、GN):インフラ整備に関する議論では、これまで見落とされてきた重要な問題として、インフラの検査に注目が集まっています。バイデン大統領が提案した計画を遂行する上で、検査の問題はどれくらい重要なのでしょうか。

 Vijay Somandepalli氏: 米国のインフラを21世紀にふさわしいものとするためには関係者間の協力が不可欠です。米国ではライフラインである交通インフラから、あらゆる人とモノをつなぐ電力やデータのネットワークまで、ほとんどのインフラが老朽化し、セキュリティや統合の点から見て時代遅れのものとなりつつあります。

 インフラの老朽化や劣化の程度は地域によって異なります。場所が違えば、気候や利用状況、人口分布、規制機関の圧力やインセンティブも異なるからです。例えば米国の北東部の道路インフラは、積雪や除雪活動の影響を大きく受けますが、西部や南西部のほとんどの地域では、気温の高さや風の強さがインフラ劣化の大きな要因となっています。同様に、操車場等の鉄道インフラが直面している課題も、北部の州と南部の州とでは異なるのです。

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