サーバーワークスは8月17日、韓国のBespin Globalと合弁で新会社「G-gen」を設立し、Google Cloud事業を新たに開始すると発表した。大企業およびエンターテインメント業界の顧客獲得を目指すとしている。
新会社は、スタート時点からGoogle Cloudのプレミアムパートナー認定を受けており、Google Cloudのサービスインテグレーション、マネージドサービス、請求代行の3つのビジネスを展開。代表取締役にはサーバーワークス 取締役の羽柴孝氏が就任する。サービスインテグレーションとマネージドサービスでは多様な業種の大企業顧客、請求代行ではゲームなどコンシューマーコンテンツの企業の獲得を見込む。
新会社「G-gen」が掲げる特徴
請求代行では、Bespin Globalの支援を受けて5%割引した価格により、Google Cloud国内最安値水準をうたう。サービスインテグレーションではコンテナーおよびKubernetes(Google Kubernetes Engine、Antos)、ゼロトラストセキュリティ(BeyondCorp Enterprise)、Chromebook、ビッグデータ分析(BigQuery、Looker)の4領域に注力する。また、Amazon Web Services(AWS)とGoogle Cloudを併用したITシステムに対応できる点が特徴だという。
サービスインテグレーションの注力テーマ
サーバーワークスは、2009年からこれまで約920社のAWS導入を手がけ、2014年から7年連続でAWSのプレミアムパートナー認定を獲得するなどAWSを専業としてきた。記者会見した代表取締役社長の大石良氏は、「マルチクラウドが叫ばれるが、実際にはインフラがAWSでもデータ分析基盤はGoogle Cloudといった組み合わせの利用がほとんど。垣根を超えた選択肢を用意し、真のマルチクラウド実装によりお客さまがやりたいことをできるようにするため、参入を決めた」と話した。
Google Cloudのビジネスを開始する上でサーバーワークスにノウハウが乏しいことから、韓国でのGoogle Cloudのサービスインテグレーションで多くの実績を持つBespin Globalとの合弁を選択した。Bespin Globalの共同創業者でCEO(最高経営責任者)のHanJoo Lee氏によれば、同社は6カ国・9拠点と約3000社の顧客を抱える。Google Cloud専門の人材は200人以上といい、Lee氏は「サーバーワークスとの協業による日本での成長を期待している」とした。
韓国のマルチクラウドインテグレーターとなるBespin Global
グーグル・クラウド・ジャパン パートナー事業本部 上級執行役員の石積尚幸氏は、「G-genの設立を歓迎し、企業のクラウド利用拡大のキープレイヤーになることを期待している。コロナ禍後におけるデータドリブン、ITインフラモダナイゼーション、働き方改革をパートナーとともに推進している」と述べた。
G-genの設立でサーバーワークスはグループ経営が本格化するとし、大石氏はG-genについて、「ITインフラにおける『ユニクロ』のような存在、ファストファッションならぬ『ファストIT』の会社になってほしい」とした。
G-genの羽柴氏は、社名について「『G』はGoogle CloudやGrowth(成長)、『gen』にはGeneration(世代)やGenerate(生む)などの意味を込め、Google Cloudで新世代のITシステムを創造する会社としたい」と説明。また、「サーバーワークスのリソースを活用し、AWSとGoogle Cloudの組み合わせたクラウド全体の設計、構築を強みにしたい」などと意気込みを語った。
(左上から時計回りの順に)記者会見したサーバーワークスの大石氏、Bespin GlobalのLee氏、G-genの羽柴氏、グーグル・クラウド・ジャパンの石積氏