ラックとセキュアは10月7日、両社で共同開発しているPCののぞき見を防ぐセキュリティ製品「顔認証のぞき見ブロッカー」の最新版を発表した。コロナ禍でのリモートワークの拡大に伴い、マスク着用認証やクラウド経由での集中管理が可能になった。
同製品は、顔認証によるPCのログオンと、ユーザーが離席したり第三者がユーザーの背後からPCをのぞき見したりした際に画面をロックする。初版が2019年に発売され、約30社の導入実績があるという。
最新版は、コロナ禍でのリモートワーク拡大により、PCが自宅やシェアオフィス、カフェ、新幹線、飛行機といったさまざまな場所で使われるようになることを受けて、機能強化を図った。新たにマスク着用時でも顔認証でき、初版はPC単体で稼働したが、最新版ではクラウドを経由して、管理者が複数のPCを一元管理できるようになった。
同日記者会見したラック 代表取締役社長の西本逸郎氏は、情報漏えいはマルウェアなどさまざまな要因で発生するが、のぞき見によるインシデントも無視できないと指摘。2020年1~6月に全国の警察が検挙した不正アクセス禁止法違反(244件)の44%(91件)がのぞき見行為や被害者から聞き出したものだったと紹介し、サイバーセキュリティ対策だけでは防げないリスクに対処する必要性があると述べた。
PCののぞき見対策では、PC画面の上下左右からののぞき込みを防ぐフィルターを企業が従業員に配布したり、個人購入して設置したりする予防措置を講じるケースが一般的。しかし西本氏は、フィルターだけではユーザーの背後からののぞき見を防ぐことが難しいとする。また、昨今では交通事故などの際に自動車に搭載したドライブレコーダーの記録映像が証拠などに活用されるようになり、のぞき込みをできる限り防ぐ対策と万一の際に記録を残す仕組みが必要だと説明した。
正規ユーザーの顔認証時のデモ
第三者が背後からのぞき見すると検知(赤枠)し、画面をロックする
マスク着用でも正規ユーザーの顔認証を行える
マスク着用でも第三者が背後からのぞき見すると検知(赤枠)し、画面をロックする
製品を共同開発するセキュアは、監視カメラシステムなどを手がける。近年は人工知能(AI)を利用した映像認識や解析技術に注力しているといい、今回の機能強化では、マスクを着用した正規ユーザーと第三者をAIで正確に識別するよう認証精度を向上させた。また、クラウドの管理コンソールも新たに開発。ユーザー登録・変更や認証、画面ロックの設定・変更などの操作、のぞき見発生時の通知(メールもしくはLINE)などを行える。認証時やのぞき見時の画像および映像、ログも保管し、管理者が調査などに利用できるようにしている。
クラウドの管理コンソールでは設定管理や画像と映像を含むログ管理が行える
最新版はサブスクリプションモデルで提供され、利用料は1ユーザー当たり税別で月額1250円となる。セキュア 取締役 事業開発本部長の平本洋輔氏は、今後の製品開発でPCカメラを悪用するマルウェアへの対策や、業務アプリケーションとの顔認証の連携などの機能強化を図っていきたいとコメントした。