ラックは9月25日、「顔認証のぞき見ブロッカー」の販売を開始した。税別価格は1ライセンスあたり1万9800円。今後2年間で20社への導入、1万ライセンス販売を目標とする。開発するセキュア(新宿区)と独占販売契約を締結した。
テレワークなど外出先でのPC利用時に発生しかねない、肩越しにパスワードなどを盗み見る“ショルダーハッキング”を回避するため、利用者の顔を登録し、利用者以外の人物を検出すると操作画面をキャプチャーしたり、カメラ画像の撮影によるログを記録したりするとともにWindowsをロックする。
総務省が5月31日に発表した「テレワークの最新動向と総務省の政策展開」(PDF)によれば、従業員数100人以上の企業におけるテレワーク導入割合は13.9%、導入予定も含めると18.2%に及ぶ。同省が2012年に実施した同種の調査と比較すると実績値は3倍に達する。
着々と広まるテレワークだが、他方で進捗が遅いという意見も少なくない。その一因として公共施設などでのPC利用時に、のぞき見に対するIT対策が見過ごされてきたと指摘するのは、ラック SIS事業統括部 シニアコンサルタント 槻山幸司氏。同社はIT活用状況を可視化するコンサルティングサービス「IT活用状況診断」を提供しているが、同サービスを通じて先の課題を指摘する。
槻山氏は「(のぞき見による)情報漏えいは証拠が残らないため追跡が難しく、“のぞき見”されたログが存在しないため、課題が浮き彫りにならなかった」と背景を説明しつつ、企業ブランドの損失やプライバシーフィルター利用の徹底が困難といった多くの課題を指摘した。
「セキュリティをテレワークの阻害要因にしない」(槻山氏)ことを目的に顔認証を筆頭にセキュリティソリューションを手掛けるセキュアが開発を担っている。セキュア 代表取締役社長 谷口辰成氏は「CPUやGPUのリソースを大量に使えば(顔認証の)精度は向上するが、低スペックPCを利用する場面を踏まえ、軽量化と精度のバランスを調整した」と、現場でPCを利用する従業員の利便性を重視したことをアピールした。
PCが社内ネットワークもしくはVPN経由で接続している場合は無効にし、社外ネットワーク接続時に起動するようなIPフィルタリング設定も可能。その他にも特定のファイルアクセス時やアプリケーション起動を顔認証のぞき見ブロッカーの自動開始条件として設定できる。