VMware 最高経営責任者(CEO)のRaghu Raghuram氏が、「VMworld 2021」の開催に合せて日本のメディアとの共同インタビューに応じた。6月に就任したRaghuram氏は、VMwareでは17年間のキャリアがあり、CEO就任前はプロダクトおよびクラウドサービスの最高執行責任者(COO)を務め、VMware の全ての製品、サービスを統括していた。
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VMware 最高経営責任者のRaghu Raghuram氏
Raghuram氏は、「VMwareは第3章としてマルチクラウドの実現に向けてあらゆる取り組みを進める段階に入っている。パブリッククラウドだけでなく、プライベートクラウド、エッジを含めたマルチクラウドのトレンドをしっかりと捉え、ネットワーキング、セキュリティ、管理なども強化していく。これがわれわれの新たな戦略」とした。
VMworld 2021で同社は、マルチクラウドへのフォーカスを強調し、そのための製品やサービスを多数発表し、さまざまなセッションを通じて、マルチクラウド時代のシナリオを公開してみせた。
前任のPat Gelsinger氏(現Intel CEO)との経営の違いを問われたRaghuram氏は、「バランスが取れた成長戦略を維持しつつも、ポジショニングを変え、よりアグレッシブに戦略を実行したい。マルチクラウド時代のポートフォリオをそろえ、VMwareの製品、サービスを使いたいというお客さまに提供していく」と答えた。マルチクラウド時代に向けたVMwareの変革がRaghuram氏に課せられたテーマであることを、VMworld 2021を通じて自ら示した格好だ。
その姿勢を示す大きな変化があった。VMwareは、つい最近まで「Any Cloud」「Any Application」「Any Device」のビジョンを打ち出していた。実は、これは2012年に同社が打ち出したもので、その原型となる絵をRaghuram氏自らが描いた。
Raghuram氏は、「Any Cloud、Any Application、Any Deviceでやってきたことは、今でも戦略の中核であり基本的なアイデアは変わっていない。だが、これらはわれわれの都合の言葉であり、価値提案という点から見て、もっと顧客に寄り添ったものにすることが必要だと考えた。そこで、今回は変えた」とする。実に、9年ぶりに絵を描き直したというわけだ。
基調講演では、「Cloud-Native App Platform」「Cloud Infrastructure」「Secure Edge & Anywhere Workplace」「Management/Security/Networking」という4つの象限を示した絵を初めて公開した一方、マルチクラウド戦略の中核となる「VMware Cross-Cloud Services」の説明においては、「アプリケーションプラットフォーム」「クラウドインフラ」「管理」「ネットワーク/セキュリティ」「エッジ/デジタルワークスペース」という5つの領域を定義し、そこに力を注ぐ姿勢を示した。
「多くのお客さまがマルチクラウドを使うようになり、プライベートクラウド、エッジを含めた分散型インフラを構築し、アプリケーションを適切な場所で展開することを目指している。いわば『クラウドスマート』な展開を求めている。お客さまがどんなことを望んでいるのかを考え、それに合せて変えた。これからはマルチクラウドへのフォーカスを強めていく」とする。
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VMwareが新たに示した今後フォーカスする領域