デジタルトランスフォーメーション(DX)はCOVID-19のパンデミックの同義語になったが、CIOとCTOは何年も前からDXに取り組んでいる。
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デジタルトランスフォーメーション(DX)は、ビジネスのあらゆる側面を急速に変化させている。これには、企業をテクノロジー主導の新たな領域へと導く責任を負った人々の役割も含まれる。
変化のペースはこの何カ月かでさらに加速し、最高情報責任者(CIO)と最高技術責任者(CTO)は、長期的な変革の取り組みと、突然のリモートワーク導入で必要になった急速な変化のバランスをとらなければならなくなったが、こうしたプロジェクトのルーツはそれよりもはるか前であることが多い。
「デジタルトランスフォーメーションが注目され始めたのは2012年頃だ」とGartnerのアナリストであるMark Raskino氏は語る。2010年代半ばにUberやAirbnb、Amazonといった破壊的企業の力を目の当たりにした企業は、ソフトウェアを重要視するようになったという。
「(企業が)何を始めたかというと、こうしたデジタル責任者のポストを新設し、デジタルトランスフォーメーションを始動して、それがどういうものかを理解しようとした」
当時は、最高デジタル責任者が組織全体の変革を担当するのが一般的で、CIOはバックオフィスのアウトソーシング、調達、標準化を担当することが多かった。しかし、現在ではCIOが長期的なビジネス戦略の方向性の決定に関与することが増えている。
ソフトウェア会社EndavaのCIOを務めるHelena Nimmo氏は、デジタルトランスフォーメーションによってCIOの権限が大幅に拡大した、と語る。一方で、テクノロジーの展開は一度実行してしまえば忘れていいという性質のものではないことが、この18カ月の出来事によって実証されたという。
「従来のデジタルトランスフォーメーションは、何百万ドルも投じて複数年にわたり実施する広範なデジタルイニシアチブであり、(漠然としているが)非常に壮大な最終目標があるのが特徴だ」。Nimmo氏は米ZDNetにこのように述べた。
「しかし、デジタルテクノロジーを使ってビジネス上の課題を解決する方法は、絶えず再検討、更新、改善する必要があるため、デジタルテクノロジーの使用に関しては、1回限りの変革プロセスではなく、進行中の継続的なプロセスとしてアプローチしなければならない」
同様に、CIOの役割は、主に社内ITに関係する役割から、自社で開発するデジタル製品やデジタルサービスに影響を及ぼす役割へと変化した。
「CIOの役割に対する固定観念について考えてみると、CIOは歴史的にコストセンターとみなされることが多かった。社内で使う基本的なテクノロジーを提供する責任を負うが、これは予算の支出や社内サポートがからむ非常にデリケートな問題だ」。こう語るのは、DevOpsオーケストレーションプラットフォームを手がけるTranspositの最高経営責任者(CEO)のDivanny Lamas氏だ。
「CIOがテクノロジーの購入だけをしていた時代に育った経営幹部がいる。現在、彼らが求められているのは、全く新しい製品の開発につながるイニシアチブを主導し、エンジニアやDevOpsチームとともに大規模なエンジニアリングの取り組みを進めることだ」