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アジャイル管理は有効だが万能ではない--DXプロジェクトでの採用時に注意すべき点

Mark Samuels (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2021-10-25 07:30

 この18カ月は、デジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進んだ期間とみなすことができる。そして、共同作業に重点を置くアジャイル管理が、デジタル主導の変化を迅速に実現する最良の手段と位置づけられている。

 米ZDNetはアジャイル管理に関する記事を多数公開し、アジャイルを活用したリモートワーク移行のサポート新しい運用モデルやビジネスモデルへの移行の支援、さらにはモータースポーツでの活用事例としてレースチームの競争力強化などを紹介してきた。

 CCS Insightでソフトウェア開発担当リサーチディレクターを務めるBola Rotibi氏は、アジャイル手法がプロジェクトの開発と実施の事実上の標準となっており、企業の問題領域に機敏に対処する手段を提供しているという認識だ。

 「アジャイルには、部門横断型チームのやりとりや反復プロセスのためのメカニズムがあり、継続的なフィードバックループによって、エンドユーザーの変化するニーズや要件を開発チームと実行チームに伝える」。Rotibi氏はこのように述べた。

 Harvard Business Review(HBR)はアジャイル管理の人気を認識しており、2001年にソフトウェア開発者のグループがITプロジェクトチームの早期の目標達成を支援するために生み出した手法が、今では多数の組織で広く使用されている、と指摘した。

 だが、良いことばかりではない。HBRによると、アジャイルを実践したいと思うことと、アジャイルを実践することは、全く別のことだという。HBRの調査では、約90%の企業が、小規模なプロジェクトを成功させた後でも、アジャイルトランスフォーメーションの全社的な展開に苦労していることが明らかになった。その理由は何だろうか。HBRは、プロジェクトチームをエース社員で構成すると、必然的に他のプロジェクトに駆り出されて、アジャイルに対応する時間がほとんどなくなり、問題が発生する場合がある、としている。アジャイルプロジェクトの失敗の原因は他にも、会社全体から隔離されすぎて全体像を見失ってしまうことや、専門知識を十分に活用できないことなどがある。

 したがって、アジャイル管理スタイルはこの18カ月間でデジタルトランスフォーメーションイニシアチブの迅速な展開を支えてきたが、必ずしもすべての企業のすべてのプロジェクトに最適であるわけではない。

 たばこ会社のPhilip Morris International(PMI)で最高デジタルおよび情報責任者を務めるMichael Voegele氏も同じ考えだ。「意味が広がりすぎている用語がいくつかある。アジャイルもその1つだろう。アジャイルをすべてに適用できるわけではない」と同氏は語る。

 HBRの調査によると、多くのアジャイルイニシアチブは目標を達成できないだけでなく、混乱の原因にもなるという。イニシアチブの管理が不十分だと、重要な期限の超過や、製品開発の遅延が生じ、スタッフの消耗、主要な人材の流出、チーム間の内紛を招く可能性がある。

 欧州経営大学院(INSEAD)も、特定のビジネス課題に対する解決策の探求を越えて、アジャイルを無差別に適用しないよう警告している。同大学院は、大きな規模で失敗すると必然的に幻滅を招き、アジャイルを思慮深く小さな規模で採用することにも消極的になってしまう可能性がある、と述べた。

 しかし、アジャイルソフトウェア開発ではIT部門の働き方が大きく変わるとはいえ、他の部門でアジャイルを採用しても、20年前の「アジャイルソフトウェア開発宣言」で最初に示された一連の価値観や原則を厳格に守って働くことにはならない。

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