大手保険会社や工業部品メーカーのIT担当役員が、大手IT企業や先端的なスタートアップとの人材獲得競争の中で、最高のIT人材を獲得するにはどうしたらいいのだろうか。
提供:Joe McKendrick
実は、ITプロフェッショナルは、どんな種類の企業にでも魅力を感じる可能性がある。しかしそれには、IT人材の地位や、仕事の性格や、採用プロセスについて再検討する必要がある。
McKinseyは、デジタル化が急速に進んでいるこの2020年代に、人材を見つけ、確保することに苦戦しているITマネージャーに対して、いくつかの提言を行うレポートを公開している。多くの企業は、優秀な人材を片端から取り込んでいる大手IT企業との人材獲得競争に晒されている。Sven Blumberg氏を中心とするレポートの著者らは、「Facebookは2021年後半に、同社の拡張現実(AR)空間であるメタバースを構築するための人材を、欧州で1万人雇用する計画であることを明らかにした」と述べている。「一方、Amazonは、米国の一般職やIT職に5万5000人以上を雇用する計画を発表しており、Googleも数千人の技術者を採用する方向に動いている」
いわゆる「大量離職」も、IT人材を雇用する側の企業にとって事態を難しくしている。
Blumberg氏と同氏のチームは、同社が関わった80件以上のIT人材関連の案件に基づいて、IT人材を雇用し、維持するにはどうすべきかについてのアドバイスを提供している。その中で、特に筆者が注目した内容は以下の通り。
- 一流の人材との面接の際は、面接しているのは採用される方で、こちらではないことを理解する。「IT業界のスターがあなたの会社で働きたいと思うとすれば、それはどういう理由だろうか。給与も重要だが、一流の採用候補者は、新しい技術に触れられるかどうかや、スキルを磨くこと、テクノロジーの価値を理解している文化の中で働くこと、目的に意味を感じられることなどを重視するものであり、もっとも重要なのは、興味深く刺激的な問題に関われるかどうかだ」とレポートでは述べている。また、これらのポイントに対応するには、従業員に提供できる価値(EVP)が重要だとしている。
- 採用プロセスではなく、採用候補者の体験を重視する必要がある。McKinseyのアナリストらは、「採用される側に立って考え、採用候補者の体験について考えるべきだ」と述べている。「IT人材は、他の技術者と話したいと考えているため、面接チームにはエンジニアやその他の適切な職位の人を含めた方がよい。面接や、オンラインイベントや、カンファレンスには最高の人材を連れて行くこと」