海外コメンタリー

激化するテック人材獲得競争に勝利するには

Steve Ranger (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2021-08-11 06:30

 技術者不足は、コンピューターが部屋1つを埋め尽くすサイズで、命令をパンチカードで入力していた時代から常に起こっていた。

 その理由はいろいろとあるのだが、根本的な問題として、そもそも世の中にある仕事を満たすだけの人材を育成できていないということがある。

 また仮に十分な人数がいたとしても、学生が大学で身につける教育と、仕事の世界で必要とされるスキルの間には常にミスマッチが存在する。企業が数カ月以上先のことについて計画を立てることは少なく、必要とされるスキルも常に流動的に変化するため、それに合わせて大学の教育を変えることは難しい。また周知の通り、テクノロジー業界の変化は早く、スキルはすぐに陳腐化してしまう場合がある。その結果、今後は多くの従業員に定期的に再教育を受けさせる必要が生じてくると考えられている。

 この18カ月に起きた出来事によって、人材不足はさらに深刻化した。開発者や、ITサポートスタッフや、プロジェクトマネージャーは、企業が短期間のうちに勤務体系を在宅勤務に切り替えるのを手伝い、その後もビジネスモデルへの適応を支え続けてきたことで疲れ果てている。調査によれば、英国の開発者の約80%が燃え尽き症候群に陥っていると回答しており、その約半数が、仕事が多すぎることを原因として挙げている。

 それに加え多くの企業は、コロナ禍で強いられた変化を足がかりとして、大規模なデジタルトランスフォーメーションプロジェクトを立ち上げている。そうしたプロジェクトが開発者や、プロジェクトマネージャーや、最高情報責任者(CIO)抜きに進められるはずもなく、必然的に、ITスタッフに対するプレッシャーは今後さらに高まっていくだろう。

 その上、極めて多くのスタッフが再び通勤生活に戻るのを嫌がっているにもかかわらず、企業はオフィスでの業務を再開する計画を発表している。疲弊した開発者、思慮の浅い企業、そして深刻な技術者不足という条件が重なっていることを考えれば、世間で「大量離職」が話題になるのも無理はない。多くの労働者は仕事を辞める準備を進めており、英国では技術者の半数が離職を検討しているという。

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