東芝グループはハイブリッドワークに向けて、従業員約10万人にクラウド型セキュリティサービス「Cisco Umbrella」、約2万人にクラウド電話サービス「Webex Calling」を導入した。KDDIとシスコシステムズ(シスコ)が5月31日に発表した。
東芝グループは、エネルギーや社会インフラをはじめ、産業分野でのビジネスを拡大し、ハードウェアとデジタル技術を融合したサイバーフィジカルシステムズ(CPS)テクノロジー企業への転換を進めている。
外部との壁を作り、セキュリティを確保する従来の境界防御型ネットワークでは、ビジネスを安全に展開できないとした同グループは、柔軟なアクセス制御と通信モニタリングによりセキュリティを担保する、ゼロトラストの概念を取り入れた次世代ネットワークへ移行させる必要性を認識していた。
また同グループは従来、会社の固定電話への問い合わせに対し、リモートで対応できる範囲が限定的だった。オンプレミス型設備のサポート終了を機に、スマートフォンも活用することで、より多くの従業員がリモートで対応できるといった利便性の向上のほか、保守費用の削減を検討していた。
KDDIは2020年から、セキュリティの強化や電話対応業務の利便性向上に向けて、シスコの製品を東芝グループに提案しており、今回の導入に至った。
両サービスの導入により東芝グループの従業員は、オフィスの固定電話番号をリモート環境でも使用できるようになり、セキュリティを確保しながらあらゆる場所で業務を行うことが可能になった。管理画面から一元的に情報を把握できるため、作業時間も削減している。同グループは今後、ライセンス数を拡大する予定だという。
東芝インフォメーションシステムズ ITプラットフォーム推進部長の濁川克宏氏は、「当グループではクラウドファーストを掲げており、ハイブリッドワークを実現するには、Cisco Umbrellaへ短期間かつスムーズに切り替えられること、Webex CallingについてKDDIが導入後のヘルプデスクまで支援してくれることが不可欠だった。今後もKDDIとシスコによる革新的なハイブリッドワークソリューションが提供されることを期待している」とコメントしている。