道路や公園、河川などの土木工事を担う北九州市建設局は、現場向けビデオ通話アプリ「SynQ Remote(シンクリモート)」を導入した。同アプリを開発したクアンドが7月7日に発表した。
SynQ Remoteは、現場の状況をリアルタイムに伝えることができる遠隔支援/ナレッジ共有ツール。細部まで確認するための画質の良さや騒音対策、指示者からの遠隔撮影など、現場に必要な機能が搭載されている。また、ウェアラブルカメラやスマートグラスなど専用端末を用意することなく、簡単に利用することができる。
北九州市建設局ではITを活用した業務改革の一環として、タブレット端末やポケットWi-Fiが配布されており、その活用方法の1つとしてSynQ Remoteを導入したという。同アプリの活用により、現場に向かう職員の数を最低限にし、移動時間の削減や迅速な判断につなげることを目的にしている。
また、SynQ Remoteを用いることで、現場にいる若手の職員だけでは判断できない場合でも、事務所にいるベテラン職員が視覚的に的確な指示を出すことができる。さらに、災害時に河川や道路の状態を確認する場合、写真を撮影して事務所に戻り判断をする手間が生じていたが、同アプリによるリアルタイムな状況の共有で迅速に判断を下すことが可能になるという。
SynQ Remoteのアカウントは6月1日から建設局全体で各課に割り振られており、28日に実施された説明会には、東/西部整備事務所と各区役所のまちづくり整備課の若手職員を中心に約30人が参加した。
6月28日に行われたSynQ Remoteの説明会の様子(出典:クアンド)
実際に職員間での1対1やグループ通話を行い、ポインターでの指示やお絵かき、音声テキストの変換などを試した。参加した職員からは、「画質が良好」や「直感的な操作が可能」などという声が寄せられ、実際に現場で使う際のイメージを膨らませることができたようだ。
SynQ Remoteは今後、リアルタイム通話で取得した画像や動画を人工知能(AI)を用いて判定/診断を行ったり、動画や写真による技術者の技術ライブラリー機能を付けたりと、ナレッジ機能を拡充していく予定だという。