日本HPは7月15日、ハイブリッドワークを支援する新製品群を発表した。
発表会に登壇した専務執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の九嶋俊一氏は「コロナ禍でオフィスワーカーが自宅でPCを使うようになり、実体験に基づく課題が見えてきた。それまでわれわれは想像で開発していたが、ユーザーから『こういうことができなければいけない』という要望が出るようになった。例えば、オンライン会議は単に声が聞こえればいいのではなく、特にリモートで参加している人にとっては『自分のことが理解されているか』が重要となる。そうしたポイントは従来の技術ではカバーできていなかった」と語った。
ウェブ会議の質を向上させるソリューションとして、同社は「HP Presence」を発表した。同ソリューションは、独立したウェブ会議ソリューション「HP Presence Meeting Room Solution」として提供されるほか、PCの新製品「HP Elite Dragonfly G3」「HP Elite Dragonfly Chromebook Enterprise」などの一機能として搭載されている。
Presenceを提供する背景について、パーソナルシステムズ事業統括 クライアントビジネス本部 デスクトップビジネス部 プロダクトマネージャーの岡﨑和行氏は「コロナ禍で人流が長期的に抑制された結果、コミュニケーションが不足し、生産性が損なわれている。いろんな企業が働き方の最適解を模索しながら、生産性をいかに高めていくかということに注力しているのではないか。テレワーク/在宅勤務の二者択一ではなく、それらを組み合わせたハイブリッドワークを推進することが大事であり、その中でのコミュニケーションツールとして活用していただきたい」と説明した。
Presence Meeting Room Solutionは、マイク、スピーカー、操作パネルが一体となったコントローラー「HP Presence Control」とそれを制御するデスクトップ型PC「HP Presence Mini Conferencing PC」の組み合わせを基本とし、その他の拡張機能をオプションとして提供する(図1)。ハドルスペース(オープンなスペース内で少人数が集まれる場所)から小規模会議室向けのPresence Controlに加え、中~大規模会議室向けの「HP Presence Control Plus」も用意している。
図1:HP Presence Meeting Room Solutionのラインアップ
岡﨑氏はHP Presenceの代表的な機能を紹介した。リアルとオンラインのハイブリッドで会議を行う場合、会議室に集まっているメンバーが盛り上がっているとオンラインで参加しているメンバーの声が届かないケースがあるが、「HP Auto Volume」は音量を自動で調整し、各メンバーの声をクリアに届ける。
「HP Auto Frame」は、フレームを自動で調整してリアルのメンバーに焦点を合わせることで、オンラインのメンバーは実際に席に座っているような感覚で参加できる。「HP Speaker Frame」は、通常の画面の中に話者のアップ画面を入れることで、オンラインのメンバーにも細かいニュアンスが伝わるとしている。
希望小売価格は、Presence Mini Conferencing PCとPresence Controlのセットが税込(以下同)で53万円前後、Presence Mini Conferencing PCとHP Presence Control Plusのセットが68万円前後、オプションのPresence See 4K AI Cameraが15万円前後を予定している。発売時期は、Presence Mini Conferencing PCとPresence ControlおよびPresence See 4K AI Cameraは2022年10月、Presence Mini Conferencing PCとHP Presence Control Plusは2023年2月を予定している。
また、ハイブリッドワークを支援するPC新製品として、モバイルPC4機種、オールインワンPC2機種を発表した(図2)。「HP Elite Dragonflyシリーズ」の第3世代であるElite Dragonfly G3は、これまでのシリーズ同様1kg未満。色はグレーに近いブルー「スレートブルー」で、クライアントビジネス本部 モバイルビジネス部 プロダクトマネージャーの岡宣明氏は「前シリーズのG2は若々しく情熱的な色だったが、G3はもう少しグレーが強く上品さを感じる」とアピールした。
図2:新製品のモバイル/オールインワンPC
岡氏はElite Dragonfly G3の特徴を説明。まず、1kg未満の重量を保ちながらG2と比べてディスプレイの縦の長さが15%拡大した。大きな画面により細部まで確認できるため、「Excel」や「PowerPoint」などの業務アプリケーションの利用に適しているという。
ウェブ会議では太陽の光によって映り方が変わり、日が落ちるにつれて映像が暗くなってしまうことがあるが、カメラが周囲の状況を判断し、自動的に最適な映像に調整する。また、テレワークで長時間座っているのは体に負担を与えることから、同製品では被写体が立ち上がって動いても画面の中央に収め、3m以内であれば歩き回っても声を拾う。
Elite Dragonfly G3 Notebook PCは2022年9月発売予定で、同社公式オンラインストア「HP Directplus」での税込価格は25万円前後を予定している。