クラウド開発の次なる段階はマルチクラウド管理とセキュリティを中心にしたものになるはずだ。というのも、アジア太平洋地域に目を向けた場合、同地域の企業はクラウドに対してさまざまな選択肢を求めつつも、異なる複数のプラットフォームを管理するという複雑さに頭を悩ませている状況があるためだ。VMwareのようなベンダーは、こうした状況に切り込み、幅広い製品によって顧客を支援していきたいと考えている。
IDCのアジア太平洋地域担当バイスプレジデントであるSimon Piff氏によると、ハイパースケールクラウドプロバイダーらは「相互接続性」という言葉を口にしつつも、現実には孤立したOSのような運用をしているという。同氏は、これによって同地域の企業が大きな課題に直面していると米ZDNetに語った。
その結果、同市場の発展に向けた次なる段階として、マルチクラウド管理や、クロスクラウドセキュリティ戦略に対するニーズが高まっていくだろうと同氏は述べた。
またこれにより、複雑さを取り除き、シームレスなマルチクラウド管理の実現に必要な統合ツールを提供できるシステムインテグレーターやソフトウェアベンダーに大きな機会が訪れるという。
Forrester Researchのバイスプレジデント兼リサーチディレクターであるCharlie Dai氏によると、アジア太平洋地域の企業は未来のテクノロジーを活用できるよう、クラウドファーストからクラウドネイティブへの移行に目を向けているという。
中国でForresterのリサーチチームを率いるDai氏によると、これには企業のクラウドインフラを、コンテナーやKubernetes、コードとしてのインフラ(IaC)、サイト信頼性エンジニアリング(SRE)といったテクノロジーを用いてマルチクラウド環境やハイブリッドクラウド環境へと移行するという変革が含まれている。
さらに同氏は電子メールでのインタビューの中で、マイクロサービスやサービスメッシュ、DevOpsによる自動化を用いたアプリケーションの大規模なモダナイゼーションも含まれていると述べた。そして同氏はKubernetesによって、機械学習(ML)や人工知能(AI)、データ管理、IoT、5G、ブロックチェーンといった重要分野におけるプラットフォーム駆動型の業務変革が促進されてきているとも述べた。
Piff氏によると、組織は自社のクラウド配備を最大限に活用するための方法を正しく理解しておく必要があるという。同氏は「アプリは基盤となるクラウド(インフラ)の持つ利点を最大限に引き出すためにクラウドネイティブになっている必要がある」と述べるとともに、「アプリの再設計やリファクタリングを実施することなくクラウドに移行しても価値が最大化されるわけではない」と述べた。
Dai氏は、組織がクラウドネイティブに向けた変革を推進していく上で、プラットフォームとプラクティス、パートナーという3本の柱を網羅した上で、それらに注力していく必要があると付け加えた。
Dai氏によると、組織は自社のITチームの主な役割に影響を与える複数の課題に直面するという。その例として同氏は、クラウドネイティブなインフラにおけるオープンソースコンポーネントが、さまざまなアーキテクチャーや成熟度、依存度、ロードマップ、技術的観点からの要求を有している点を挙げた。またこうしたコンポーネントは、企業の配備においてはスケーラビリティーや信頼性、パフォーマンスの強化が必要となり、分散環境においてはマイクロサービスのアプリケーションが必要となる。