人工知能(AI)は企業のインテリジェンスを高めると言われているが、IT部門についても同じことが言える。例えばAIOps(IT運用におけるAI利用)は、AIと機械学習をIT部門の業務プロセスで発生するデータストリームに適用し、ノイズをふるいにかけて問題を検知して、その問題にスポットライトを当て、それを未然に防ぐためのものだ。
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AIと機械学習は、IT運用のもう1つの新しい分野でも使われるようになりつつある。システムの中をこれまで以上のスピードで通り過ぎ、ユーザーに提供されるソフトウェアの実用性と品質を保証しようとする、DevOpsチームの支援だ。
GitHubの最近の調査によれば、多くのDevOpsチームが、コードのレビューやテストを行う作業の流れをスムーズにするために、AIを大胆に活用するようになっており、31%のチームがレビューにAIや機械学習のアルゴリズムを積極的に利用していた。これは2021年の倍以上の数字だ。またこの調査では、37%のチームがソフトウェアのテストにAIや機械学習を使用しており(前年は25%)、さらに20%が今後1年間でそれらの技術を導入する予定であることも明らかになった。
Techstrong ResearchとTricentisが実施した別の調査でも、同じ傾向が確認されている。DevOpsの実践者やリーダー2600人を対象として実施されたこの調査では、回答者の90%がDevOpsのワークフローにおけるテストフェーズにAI利用を増やすことに前向きであり、これをDevOpsチームが直面している人材不足を解消する手段として捉えている(Tricentisはソフトウェアテストツールを提供している企業であり、この調査の内容に利害関係がある立場にある。ただしこのデータには、より自律的なDevOpsのアプローチへの転換が進んでいることを反映しているという点で重要な意味がある)。
TechstrongとTricentisの調査では、あるパラドックスも浮かび上がってきた。それは、ある専門スキルの必要性を緩和するために、別の専門スキルが必要になっているということだ。回答者の少なくとも47%は、AIを組み込んだDevOpsには大きなメリットがあり、「従業員がより複雑な作業を簡単に行えるようになる」と述べている。
しかし同時に、44%のマネージャーは、AIを組み込んだDevOpsを実現するための妨げになっている主な要因の1つとして、AIを使用したソフトウェアテストの仕組みを開発し実行するのに必要なスキルの不足を挙げていた。ただしこの悪循環は、より多くのプロフェッショナルがAIや機械学習のトレーニングに参加することによって改善されるかもしれない。