Tencent Cloudは、アジアにおけるメディアサービスの需要増を追い風にして成長しようと力を注いでおり、新たに発表した「Tencent Cloud Metaverse-in-a-Box」を含む製品ポートフォリオの提供で企業のWeb3イニシアチブを支援しようとしている。しかし中国を拠点とするこの巨大IT企業は、「ChatGPT」のようなジェネレーティブ人工知能(AI)ツールが同社の全体的なビジョンにおいてどのような役割を果たすのかについて今回も明言しようとはしなかった。
同社は現在のところ、メディアサービス分野での市場機会に関して、強気の姿勢をあらわにしており、アジア太平洋地域において2016年から2026年の間に19倍の成長を見込んでいる。Tencent Coud InternationalのシニアバイスプレジデントであるPoshu Yeung氏はシンガポールでのメディアブリーフィングの席上で、ビデオオンデマンド(VOD)のサブスクリプション数は同地域が最も多いと述べた。
また、シンガポールやマレーシア、インドネシア、タイといった地域市場では、東南アジアのデータセンター業界の加速的成長に伴って、メディアサービスにおける著しい成長機会がもたらされるだろうと同社は述べた。
同社は2022年にメディアサービス事業を立ち上げ、VODやライブストリーミング、リアルタイムコミュニケーション、インスタントメッセージングサービスといった音声および動画関係のワンストップショップを実現すると語っていた。同社が提供する400のメディアサービスのうち、150は中国国外で利用可能になっている。
Tencent Cloudは、オンラインゲームとメディア開発における20年以上の歴史を有する幅広いエコシステムの力を背景に、これらナレッジプールを活用してメディアサービスを提供していくことができるとYeung氏は述べた。
またこの中心には、オンライン環境と物理環境の融合を支援し、シームレスなコネクティビティーとユーザーエクスペリエンスを提供するというWeb3テクノロジーなどを包含した、同社の「イマーシブコンバージェンス」という戦略がある。
Web3開発の推進に向けた取り組みの一環としてTencentは現地時間2月22日、SDKやローコードアプリケーションを含む一連のツールを提供するMetaverse-in-a-Boxを発表した。これにより、企業における迅速なメタバースサービスの開発を支援するのが狙いだ。Tencentによると、これらのツールはゲームやメディア、エンターテインメントのほか、従来型の分野にも適用できるという。
Yeung氏は「われわれは、現実世界の経済とデジタル世界の経済が出会い、統合される『イマーシブコンバージェンス』のコンセプトを後押しするインターネットの次なる段階、すなわちにWeb3に未来を見いだしている。より多くの企業が、効率的で透明性の高いデジタルな未来を探求し、適応していこうとしている中、われわれはゲームや音声、動画といった分野で培ってきた技術的な経験を活用してWeb3の技術的サポートを提供し、業界のパートナーとよりイマーシブなエクスペリエンスを創出するとともに、より良いWeb3のエコシステムを醸成していくための用意ができている」と述べた。