2022年9月後半、非代替性トークン(NFT)であるCryptoPunk #2924が450万ドル(約6億6000万円)で販売された。この種の暴騰した価格での売買はメディアの見出しを飾り、高値がついたJPEG画像に話題が集中するものの、NFTやWeb3による大きな影響は見過ごされがちだ。しかし、Web3は単なる新しいテクノロジーではなく、ブランドとコンシューマーのやりとりの方法を変革するものなのだ。
Web3は単なる新しいテクノロジーではなく、ブランドとコンシューマーのやりとりの方法を変革するものだ。クリエイターとオーナーの経済にようこそ。そこでは、顧客エンゲージメントが未来永劫(えいごう)に様変わりする。
提供:ArtemisDiana/Getty Images
われわれは価格に注目するあまり、実際に起こっている物事を見過ごしてしまう。
テクノロジーの急進的な変化(ブロックチェーンテクノロジーのメインストリーム化)が文化の変化(身の回りのあらゆる物事の極端なオンライン化)と出会った結果、コンシューマーは新たに力を得ることになる。そしてその転換点では、人々とブランドの関係が著しく変化するようになる。
この種の変化が起こるのを目にするのはこれが初めてというわけではない。それは、インターネットの出現時にまでさかのぼれる古くからのサイクルだ。情報スーパーハイウェイによってコンシューマーはかつてないほどの量の情報にアクセスできるようになり、ブランドからコンシューマーへという力のシフトが起こった。コンシューマーの情報源はブランドのパッケージのみという時代は終わりを迎えたのだ。
そして現在、コンシューマーが情報に対する無限のアクセスを得て、それによって意思決定プロセスが変化した結果、ブランドはそうした状況への適応を迫られるようになっている。
Web2によってモバイル機器とソーシャルメディアが生み出され、コンシューマーはさらなる力を得た。彼らはメディアとなり、企業の製品についての感想を世界に発信できるようになり、そうした情報は格付けやレビューというかたちで他の人々から重視されるようになった。テクノロジーによってこれらの変化が加速された結果、ブランドは今やデジタルマーケティングやソーシャルメディア、インフルエンサーによるマーケティングに大きく依存するようになっており、コンシューマーを単なるコンシューマー以上の存在として捉えるようになっている。