ガートナージャパンは9月1日、「日本における未来志向型インフラテクノロジーに関するハイプ・サイクル」の2022年版を発表した。それによると、メタバースとNFT(非代替性トークン)、Web3が日本市場における「過度な期待」のピーク期に入ったとしている。
ハイプ・サイクルは、技術などが過度にもてはやされ、期間を経て幻滅期を迎え、最終的に市場や分野でその重要性や役割が理解され、進化する共通のパターンを示したもの。未来志向型インフラテクノロジーは、全ての企業にとって重要になる未来志向型と捉えられるインフラストラクチャー関連の36種類の技術やキーワードを取り上げている。
2022年版では、「メタバース」「自律分散型組織」「都市型エア・モビリティ」「デジタル・ヒューマン」「ソフトウェア定義型自動車」の5つを追加した。メタバースとNFT、Web3が「過度な期待」のピーク期を迎え、これは世界よりも早い段階だという。なおNFTは、2021年版でも「過度な期待」のピーク期とされている。
出典:Gartner (2022年9月)
メタバースについてアナリスト ディスティングイッシュト バイス プレジデントの亦賀忠明氏は、「VR(仮想現実)から派生したデジタルのリアル化の中でアバターを超えたデジタル・ヒューマンがリアリティーになりつつある。さらにAR(拡張現実)、IoT、5G/6G、分散クラウド、メッシュ、振る舞いのインターネット、ソフトウェア定義型自動車、都市型エア・モビリティ、ジオロケーション、衛星コンステレーションといったテクノロジーを融合したリアルのデジタル化のトレンドが進化することで、これから2030年から2040年といった長期レンジで世の中をフルデジタルかつ“People Centric”(人中心)な世界に変えていくだろう」と解説する。
Web3は、メタバース内の価値や権利のやりとりを可能とする点で中核的な位置付けだといい、NFT活用などの新たなプラットフォームに位置付けられるという。Web3でインターネット規模の非中央集権型の取引き、やりとりが自由に進められるようになれば、現在社会が大きく変わる可能性があるとする。ここではガバナンス(統制)を担う「自律分散型組織(DAO)」があり、人やマシン、企業、他のDAOとのビジネス上のやりとりをブロックチェーン上で自律的に行うデジタル集合体になり、既存の組織運営法に影響を及ぼす可能性があり、極めて重要で日本でも期待が高まっているという。
また、ソフトウェア定義型自動車は、次世代のE/E(電気/電子)アーキテクチャーになる。コンセプトだけでなく具体的なテクノロジーを伴うアーキテクチャーや実装、オペレーションの総合的な議論と実践を支える重要なキーワードだと解説している。