今週の明言

マイクロソフト幹部が語るアマゾン追撃策

松岡功

2014-09-12 14:10

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、日本マイクロソフトの小原琢哉 執行役専務と、富士通マーケティングの生貝健二 代表取締役社長の発言を紹介する。

「Amazonをキャッチアップするため、戦うステージを変えていきたい」
(日本マイクロソフト 小原琢哉 執行役専務)


日本マイクロソフトの小原琢哉 執行役専務

 日本マイクロソフトは先頃、法人向け事業における最近の取り組みについて記者説明会を開いた。執行役専務でエンタープライズビジネス(大手企業約300社が対象)部門を率いる小原氏の冒頭の発言は、その会見において、 IaaS型クラウドサービス市場で先行するAmazon Web Services(AWS)への対抗策を問われて答えたものである。

 会見には、小原氏とともにゼネラルビジネス(中堅中小企業が対象)およびバブリックセクター(官公庁や自治体、医療、文教市場が対象)の部門トップが顔をそろえ、それぞれの事業の取り組みや今後の重点分野について説明した。会見全体の内容については関連記事を参照いただくとして、ここではクラウド事業における小原氏の発言に注目したい。

 小原氏は大手企業のクラウドへの取り組み状況について、「日本企業はこれまでクラウド利用について少し腰が引けている感じがあったが、2月に当社が国内にデータセンターを設置して以降、幅広い業種、業態でクラウド利用に取り組む企業が増えつつある」と説明。とりわけ大手企業では、新規事業や開発作業においてクラウドを試しに使ってみるケースが増えてきたという。

 そうした企業に対し、同社のアプローチとしては、「すべてのシステムをいきなりクラウドに移行しようとせず、オンプレミスでの利用を継続したいところはそのままにして、それらを連携させたハイブリッド型として利用する形を提案している」とし、クラウドとオンプレミスの間をシームレスに連携させることができる同社の技術の優位性を強調した。

 小原氏はクラウド事業における今後の展開として、「クラウドにせよオンプレミスにせよハイブリッド型にせよ、それらを支えるプラットフォームづくりにおいてマイクロソフトは大きく貢献していきたい」と説明。そのプラットフォームは、自社の製品やサービスだけでなく、パートナー企業はもちろん、分野によっては競合するところもあるベンダーの製品やサービスも利用できるオープンな基盤に仕立て上げていく構えだ。

 会見の質疑応答では、同社のクラウド事業での最大の競合相手であるAWSをどのように追撃するのか、との質問も。その答えとして小原氏がまず語ったのが冒頭の発言である。発言中にある「戦うステージを変える」とはどういうことか。

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