三国大洋のスクラップブック

アップルのCEOにイーロン・マスクを--新進気鋭のVCが真のリーダー待望

三国大洋

2013-05-13 18:09

 Teslaが創業10年目にして初めて四半期決算で利益を計上したとの発表を受け、米国時間5月9日には同社の株価がいっきに24%も上昇、その結果時価総額でイタリアのFiatを追い抜いたなどとBloombergが伝えていた(註1)。


[Bloomberg TV]

 具体的な評価額はTeslaが約80億ドルに対し、Fiatが約78億ドル。トヨタ(約1871億ドル)やVolkswagen(約917億ドル) といった大手とはさすがに比べるべくもないが、それでもFiatといえば同名の大衆車ブランド以外にFerrariやMaseratiといった高級車ブランドも保有、さらに近年では米国のChrysler(Jeepを含む)も傘下に収めている欧州の老舗メーカー。そのFiatグループ全体よりも評価が高い、ついでにいえば三菱自動車(66億ドル)よりも高く、ダイハツ(約84億ドル)やマツダ(約104億ドル)の背中も……。といった状況というのは、例え時価総額だけの話にしても大したもの。それだけ大きな期待が投資家から寄せられている、ということだろう(註2)。


[Living with the Tesla Model S in the real world - The Verge]
(2月はじめにThe Vergeが公開していた試乗レポートの動画。話の主眼はTeslaが展開を進める高速充電ステーションで、「電気自動車、電気切れればただの箱」という点がよく伝わってくる内容)

 決算の内容については売上5億6200万ドル、利益が1120万ドルで、売上の中には他の自動車メーカーへ販売した排ガスゼロ車両のクレジット(6800万ドル)なども含まれるから、まだ自動車本体の製造・販売で利益が出ている状態ではない。ただし、前年同期(モデルS発売前)に約9000万ドルのマイナスだった損益が黒字に転じたことや、同期の出荷・納品台数が4750台との予想を250台ほど上回ったことなどが投資家の間で好感されたようだ(註3)。

 Teslaは今後、米国以外でも販売網を展開したり、あるいは米国内でもすでに展開を始めている高速充電ステーション網を各地に拡げていったりと、これからもたくさん「持ち出し」(投資)をしていかなくてはならないようだが、それでも実際に製品をきちんと納品できることが証明されつつあることは大きい。とくに、米連邦政府の支援を受けたもう1つのEVメーカー、Fisker Automotiveがさんざんな状態(註4)にあることを考えると、Teslaのこの実績がなおさら光ってみえる。

 また2008年のDaimlerとの提携前には、Teslaが破産し掛かり、創業者兼CEOのElon Muskも(PayPalの売却で手にした)資産が底をつきかけていたことなどを考えると隔世の感がある(註5)。

 このMuskについてはすでにいろいろなところで名前を目にしていると思う。先頃発表されていたTIME誌の「影響力のある100人」にも選ばれていたし、その前にはSXSWで「SpaceX」(民間の宇宙船打ち上げプロジェクト)のデモビデオを披露したり、「火星で死にたい」と発言(註6)したりして、それぞれ話題になっていた。

 そんなMuskは、このSpaceXとTeslaのCEO、それに従兄弟が経営しているSolarCityという太陽光発電関連の新興企業の会長(註7)と、現在3役を掛け持ちしている。この3つのプロジェクトがいずれもスケールの大きなビジョンとそして大きなリスクも伴うベンチャーであることから、Muskのことを現代を代表する「Moon Shooter」と評価する声もよく耳にする。

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