iDCサービス、“所有から利用へ”が継続--BCP/DR対策で需要が拡大

田中好伸 (編集部)

2012-06-25 17:00

 IDC Japanは6月25日、国内通信事業者のソリューション/マネージドサービス市場の動向を発表した。2011年の同市場規模は前年度比8.0%増の9513億円になる見込みだ。

 内訳はインターネットデータセンター(iDC)サービスが4237億円、セキュリティサービスが3348億円、システム構築サービスが944億円、ネットワーク運用保守サービスが984億円となっている。同市場は2011~2016年に年平均成長率(CAGR)8.9%で推移して、2016年の規模は1兆4594億円になると予測している。

 今後はiDCサービスとセキュリティサービスがけん引するとみている。iDCサービスは“所有から利用へ”のトレンドに加えて、東日本大震災以後に拡大した事業継続計画(BCP)と災害復旧(DR)対策としての需要の継続が見込まれている。首都直下型地震が数年以内に高確率で起きるとのシミュレーション結果が公表されたこともあり、ユーザー企業の巨大地震に対する危機意識は高まっており、大震災から時間が経過しても、BCP/DR対策としてのiDCサービス需要が縮小する可能性は低いとみている。

図 2010~2016年の国内通信事業者のソリューション/マネージドサービス市場の売上額予測(2010年は実績値、2011年は見込み、2012~2016年は予測、出典:IDC Japan)

 iDCサービスでは、構成比は高くないがIaaSの利用拡大も予測している。IaaSはすでにソーシャルアプリケーション分野で利用が広がっているが今後は、試験利用にとどまっていた一般企業でのIaaS利用でも本格導入段階に入るケースが増えるなど市場が拡大するとみている。

 セキュリティサービスでは、Gumblarなどに代表されるウェブサイトを狙った攻撃、特定組織を狙った標的型攻撃の増加が、システムの脆弱性診断や情報漏洩対策、セキュリティ監査などの分野を中心に、需要拡大につながっている。

 アウトソーシングサービスの利用でセキュリティの運用負荷を軽減するニーズが底堅いこと、スマートフォンやタブレット端末の普及で、これらのエンドポイントセキュリティ需要が顕在化。これらが背景となって、セキュリティサービス需要を底上げする要因になるとみている。

 IDC Japanの小野陽子氏(コミュニケーションズシニアマーケットアナリスト)は「通信事業者は自社のネットワークやデータセンター、運用技術と新しいテクノロジを組み合わせ、コストとテクノロジの両面で優位性のある広域分散バックアップソリューションを提供すべき」と提言している。

 その上で「再び起こるかもしれない大震災に対する国内企業のリスク意識は高まっており、BCP/DR対策需要の増加が期待される。クラウドや仮想化の流れの中で、広域分散バックアップを従来よりも柔軟に実現するテクノロジが多く出てきている」とコメントしている。

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