IDC Japanは6月21日、2011~2016年に新設されるデータセンターへの投資額予測を発表した。2011年の実績値は3010億円、2011~2016年は年平均成長率(CAGR)2.6%で推移し、2016年の市場規模は3428億円と予測している。
投資額には、構造物の建設や電気設備、機械設備、建築設計、コンサルティングなどが含まれる。予測では、事業者が顧客に提供するためのInternet Datacenter(iDC)と企業が所有するEnterprise Datacenter(eDC)に分類している。
iDCでは、構造物から新たに建設する“新築”の2011年実績値が766億円、CAGR2.2%で推移して2016年には855億円になると推計。既存の建物をデータセンター施設に用途変換して建設する“改修”の2011年実績値は151億円、CAGR3.2%で推移して2016年には177億円になるとみている。
eDCでは、新築の2011年実績値は872億円であり、CAGR1.6%で推移して2016年には945億円になると推計。改修の2011年実績値は1221億円であり、CAGR3.5%で推移し、2016年には1452億円になると予測している。
(2011年までは実績、2012年以降は予測、出典:IDC Japan)
iDCでは事業継続計画(BCP)や災害復旧(DR)対策を目的にしたアウトソーシングニーズの拡大、クラウドのインフラ基盤としてのメガデータセンターの構築が成長をけん引するとみている。eDCでは運用管理負荷やコストの削減を目的としたデータセンターの集約やバックアップサイトの構築需要が成長のドライバーになると考えている。
構造物のトレンドとしてiDCの場合、ファシリティがユニット化され規模に応じて段階的に投資できるモジュール型への理解や評価が進んでおり、特にホスティングやクラウドを主要サービスとする地方型データセンターでの採用が進んでいると説明する。
クラウドサービス事業者はグローバルな規模でサービス価格競争が激化しているため、データセンターのファシリティにおけるコスト削減が重要な課題になっていると指摘している。eDCの場合、東日本大震災や計画停電の経験から、地震対策のため床やラックに免震技術を導入するなど、安全性を強化する企業が増えている。
IDC Japanの川上晶子氏(コミュニケーションズリサーチマネージャー)は、「データセンターの物理インフラについて、製品やサービスを提供する事業者は、iDCの新設案件で人件費や電力コストなどのランニングコストを低減するソリューションの提案に注力すべき」とコメント。続けて「eDCのサイト集約に伴う新設案件では、バックアップサイトも含めた提案を行うべき」と提言している。