米Symantecが実施したデータセンターに関連した調査によると、79％の企業がデータセンターはますます複雑化していると認識していることが明らかになっている。
調査では、データセンターの複雑化があらゆる領域に影響を与えており、特にセキュリティやインフラ、災害復旧（DR）、ストレージ、コンプライアンスといった領域で影響が及んでいるという。調査に回答した企業はすべての領域での複雑さが10ポイント中6.6以上とほぼ同レベルに評価しているが、中でもセキュリティは7.1と最も大きな影響を与えているとしている。
データセンターの複雑さのレベルの世界平均は10ポイント中6.7。地域別にみると、米国企業が最も高く7.8であり、アジア太平洋と日本の企業は最も低い6.2となっている。
では、データセンターが複雑化する原因は何か？ まず挙げられるのが、ビジネスクリティカルなアプリケーションの増加だ。回答企業の65％がビジネスクリティカルなアプリケーション、つまり止めてはいけないアプリケーションの数が増えていることから、データセンターが複雑化していると認識している。
そのほかの要因としてはモバイルコンピューティング（44％）、サーバの仮想化（43％）、パブリッククラウド（41％）が挙げられている（iPhoneやiPadなどのモバイル端末から業務アプリケーションにアクセスするために、止めることができないビジネスクリティカルなアプリケーションが増加している一端を担っているのではないかと筆者は個人的に推測している）。
調査では、データセンターの複雑化の影響が広範囲に及ぶことも明らかにしている。最も挙げられたのは（容易に想像できる）コストの上昇だ。回答企業の約半数は、コストの上昇はデータセンター複雑化の影響と考えている。
そのほかには、敏捷性の低下（39％）、ストレージ移行のリードタイムの長時間化（39％）、ストレージのプロビジョニングの長時間化（38％）、セキュリティ違反（35％）、ダウンタイム（35％）が挙がっている。
一方で回答した企業は、データセンターの機能停止を過去12カ月で平均で16回経験しており、この合計コストは510万ドルとなっている。最も一般的な原因はシステム障害、次いで人的エラー、自然災害が続いている。
もちろんデータセンター複雑化に対する措置を企業は取っている。回答企業は63％が「データセンターの複雑さに対処するための予算の増加はある程度、または非常に重要である」と考えている。
だが、データセンター複雑化への措置として最も大きな取り組みは「包括的な情報管理戦略の実施」という。これは、企業が情報をプロアクティブに分類、保管、検出することで情報リスクの軽減、情報管理コストの削減、保管ポリシーの確立、電子証拠開示（eディスカバリ）プロセスの合理化を実現するプログラムを指している。回答企業の90％が「情報ガバナンスについて検討しているか、トライアルまたは実際のプログラムを実行している」という。
情報ガバナンスを大きく索引するものとして、セキュリティ（75％）、情報ガバナンスを容易にする新技術の採用（69％）、データセンターの複雑さの増大（65％）、データの増加（65％）を挙げている。
情報ガバナンス実現のための設定している目標としてセキュリティの強化（75％）、適切な情報の迅速な検出（70％）、情報管理コストの削減（69％）、ストレージのコスト削減（68％）、法的リスクの軽減（65％）、コンプライアンスリスクの軽減（64％）、クラウドへの移行（59％）などが挙げられている。
調査は、3月にReRez Researchが実施、34カ国の企業2453人のITの専門家から回答を得ている。回答者には戦略を策定するシニアIT、運用管理を担うスタッフも含まれている。日本企業は100社、回答者の46％がシニアITとなっている。
