IDC Japanは8月7日、国内データセンターの調査結果を発表した。従業員数十人以上の国内企業435社を対象に3月に実施。商用のデータセンターを所有する事業者は82社、企業内でデータセンターを所有する一般企業は353社となっている。
調査によると、回答企業の7割以上がデータセンター内の電源や空調設備の課題に対して何らかの改善を行っているという。特にデータセンター専用の建物で総電力量の供給増に注力している。データセンター専用建物やオフィスビルなど、いずれの建物種類でも省電力のCPUやサーバへの更改、仮想化技術による稼働効率の向上に取り組んでいることが分かり、IT機器のエネルギー効率改善を強化していると分析している。
事業者と一般企業の両方で2割程度が、現在保有しているデータセンターで統廃合を計画していることも明らかになっている。理由としては「運用管理コスト削減」が最も大きな要因。次いで「複数サイトの統合による運用管理の効率化」。3位には、事業者では「電源容量不足への対応」、一般企業では「ビジネス継続性の確保」が挙げられている。
データセンター新設の投資意向では「具体的予定がある」「意向がある」と回答した企業は、事業者で約37%、一般企業で約22%。構築方法では、データセンター専用建物では新築(約53%)、オフィスビルでは改修(約54%)が半数を超えており、工場や研究施設、物流センターなどそのほかのビルでは、新築(構造物から新たに建設)と改修(既存の建物をデータセンターに用途を変換して建設)が半々に分かれている。
IDC Japanの川上晶子氏(コミュニケーションズリサーチマネージャー)が以下のようにコメントしている。
「事業者のデータセンターは、地震リスクや電力不足への懸念、グローバルな価格競争などから、データセンターの物理インフラの信頼性工場とコスト削減という二律背反の課題を突き付けられている。データセンター内に製品やサービスを提供するベンダーは、運用コスト(opex)低減を実現する技術開発に注力するとともに、ITと物理インフラの垣根を越えた全体最適化できるものを訴求すべきである」