NRI、東京第一データセンター完成--フロアの上下分割で空調が効率的に

田中好伸 (編集部)

2012-10-17 17:11

 野村総合研究所(NRI)は10月17日、東京第一データセンターの建設が完了したことを発表した。11月21日からサービスを提供する。国内では5カ所目となる。東京第一データセンターは「ダブルデッキシステム」と「タスク&アンビエント空調方式」を採用している。

 ダブルデッキシステムは、高さ約8mのフロアを上下に分割して2層化、上層はサーバを設置するコンピュータエリア、下層を空調機器などの設備機器を設置するメンテナンスエリアに区分する。このシステムを採用することで、将来のサーバの技術変化にも柔軟に対応できるという。

図1 ダブルデッキシステムとタスク&アンビエント空調方式
写真1 ダブルデッキシステム上層のコンピュータエリア
写真2 ダブルデッキシステム下層のメンテナンスエリア

 1フロアが2層空間になることで、サーバを設置、管理する担当者と、施設や空調設備を管理するメンテナンス担当者の動線を完全に分離できる。セキュリティ面での改善が図られると説明している。

 タスク&アンビエント空調方式は、データセンター内の空間を“サーバラック領域(タスク域)”と“周辺領域(アンビエント域)”に分割して、タスク域に集中して冷却する方式。必要な部分だけに集中して冷却することで効率的な空調となり、省エネ効果が大きいと説明する。

 空調機器をダブルデッキシステムの下層に配置することで、サーバを直接冷却する。発熱量の多い平均7.5kW級の高密度ラックでも適切に冷却できるという。タスク&アンビエント空調方式の採用で、将来的な負荷増加にあわせて空調機器を適切な場所に設置でき、負荷の高い機器の局所冷却にも対応できる。最大で30kWの発熱量の高密度ラックも設置可能だ。

 現在の一般的なデータセンターは、冷却するための空調機器がコンピュータルームの横に設置されている。そのため冷気の到達距離がまちまちであったり、床下に十分な風道を確保することが困難になるという課題を抱えている。タスク&アンビエント方式の採用で、従来型の冷却方式と比べて、空調効率は約50%向上できるという。

写真3 縦揺れ制振ダンパー

 東京第一データセンターは全体が免震構造となっており、地震時の水平方向の揺れ(応答加速度)を3分の1程度低減できると説明。上下2層化構造を生かして、上層のコンピュータエリアを支える下層側の鉄骨の間に、縦揺れ制振ダンパーを設置している。コンピュータエリアでの垂直方向の揺れを20~40%低減できるとしている。

 同データセンターでは、金融情報システムセンター(FISC)の安全基準にも準拠した「SOC2保証報告書」を提供して、ユーザー企業への説明責任を果たす。SOC2保証報告書は、米国公認会計士協会が公表するガイダンスに基づいて、システム運用を受託する企業のセキュリティや可用性など会計報告以外の内部統制を評価する報告書。外部監査人の監査報告書と受託会社確認書が添付される。

 東京第一データセンターは東京都の多摩地区に所在。延べ床面積は3万8820平方メートル、受変電容量4万KVA。ラックあたりの最大消費電力30KW、床荷重は1300kg/m2となっている。

図2 東京第一データセンター外観イメージ

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