「オラクルはWindowsと.NETに完全にコミットする」--日本オラクルは11月24日、Windows市場に向けた戦略説明会を開催し、オラクル製品がWindowsと.NETをサポートしていることをあらためて強調した。
日本オラクル 執行役員 システム事業推進本部本部長の三澤智光氏は、「業界内で“オラクルはJava陣営だから、.NETユーザーに冷たいのではないか”といったうわさ話がある一方で、Windowsや.NETユーザーから“.NETで開発しているがオラクル製品を使いたい、.NETだけでなく他のシステムとも連携させたい”といった意見が多かった」と、現状について説明する。その上で同氏は、「オラクルが.NETユーザーに冷たいという噂は誤解だ」とし、「.NET環境でもオラクルが使えるということを再度認識してもらいたい」と強調した。
- Windowsや.NETへのコミットメントを強調する日本オラクルの三澤氏
三澤氏はまず、製品面におけるオラクルの.NETサポートについて語った。オラクルでは、11月1日に「Oracle Database 10g Release 2」の出荷を開始しているが、「これはCLRストアドプロシージャをサポートしている。一方のマイクロソフトは、SQL Server 2005でCLRストアドプロシージャをサポートするとしているが、同製品は12月15日に開発終了することが発表されたのみだ」と述べ、CLRストアドプロシージャをサポートする製品を日本で先に出荷するベンダーがマイクロソフトではなくオラクルであることをアピールした。
また三澤氏は、Windows 64ビット版のサポートについても、オラクルは12月20日に対応版を出荷する予定だが、マイクロソフトの64ビット版SQL Server 2005は現時点で出荷未定となっていることも指摘した。
オラクルでは、.NET開発者に向けたツールも用意している。同社の提供するツールは、.NET環境からオラクルデータベースへのデータ接続を実現するミドルウェア「Oracle Data Provider for .NET」(ODP.NET)や、Visual Studio .NETでオラクルのアプリケーションを開発するためのツール「Oracle Developer Tools for Visual Studio .NET」(ODT)、ストアドプロシージャを.NETで開発できる拡張機能「Oracle Database Extensions for .NET」(ODE.NET)などだ。
オラクルではまた、2005年11月に発足したVisual Studioのユーザーを対象とした開発者コミュニティ「Visual Studioユーザーグループ」(VSUG)への協賛も表明した。
三澤氏は、オラクルがこうした製品面でのサポートのみならず、.NETの外部連携にも注力している点をアピールした。
三澤氏は、「.NETのフレームワークで作られたアプリケーションは、OSもミドルウェアも開発言語も限定されるなど、垂直統合志向だ。それが開発生産性の高さに結びつくこともあるが、実際には他のシステムと連携させたいという声は多い」と背景を説明した上で、「.NETで開発されたアプリケーションをビジネスプロセス連携の標準仕様であるBPEL(Business Process Orchestration)をベースに、オラクルのミドルウェアコンポーネントを使って連携させる」と述べた。
その第1弾としてオラクルでは、Windows OS上で動作する業務パッケージ「ProActive E」「MCFrame」「SuperStream」を連携させたが、三澤氏は「今後はユーザーが独自で開発したアプリケーションもBPELを使って連携させる」としている。
また、米Oracleは3月にアイデンティティ管理製品を提供する米Oblixを買収しているが、「(Oblixの)COREidにより、.NETも含めたあらゆるシステムのユーザー情報とアクセス管理を統合化する」(三澤氏)とした。
さらにオラクルでは、グレープシティやアルファテック・ソリューションズ、テニックといったパートナー企業とも協業し、製品の相互動作検証や、SQL ServerからOracle Databaseへの移行などを実施している。同社では今後もパートナーと共に「Oracle on Windows」を強調したセミナーを実施するなどして、オラクル製品がWindowsや.NETと相性が良いことをアピールしていく考えだ。