サンフランシスコ発--Oracleは早ければ2006年3月にも、同社の「Project Fusion」製品で複数のデータベースをサポートすることを決定する可能性がある。Project Fusionは、同社が買収で取得した他社製品と自社アプリケーションを組み合わせていく取り組みだ。
Oracleの共同社長Charles Phillipsは米国時間19日、同社のProject Fusion委員会がこの問題について議論していることを明らかにした。同委員会は、OracleがPeopleSoft、Siebel Systemsなどの企業から買収した製品の一部を統合していくプロジェクトを監督する組織である。
Phillipsは当地で開催されている「Oracle OpenWorld」ユーザーカンファレンスで、「複数のデータベースをサポートするか否かを決定するのに、1年もかけるつもりはない。おそらく6〜9カ月で結論を出せるだろう。すでに顧客にこうした話をしており、また顧客からも問い合わせがあるので、決断のための材料はある程度そろっている」と述べた。
Project Fusionの本格的な製品ラインは、2007年より提供開始される。これと歩調を合わせることの利点について検討している企業にとって、同社の今回の問題に対する決定は非常に重要なものになるだろう。Oracleユーザーの多数が、IBMの「DB2」といった他社のデータベースソフトウェアを利用しているからだ。特に、OracleがPeopleSoftを買収した際に取得した顧客や、Siebel Systemsを合併する際に今後取得する顧客の間で、そうした傾向は顕著になっている。
Project Fusionの戦略を論じ合う前述の委員会は、複数データベースのサポートや同プロジェクトにおけるその他の懸案事項について、ユーザーの意見を募り、それを吟味するために結成された。Project Fusionの目的は、Oracle独自のアプリケーションを、同社が買収してきた製品と統合していくことである。こうした製品にはソフトウェアメーカーRetekやProfitLogicのものや、先にPeopleSoftが買収し、のちにOracleが取得したJ.D. Edwardsのものが含まれている。Project Fusionから最初に製品がリリースされるのは2006年の予定だが、主力製品の発表は2007年になるとされている。
Phillipsは、IBMのDB2を利用しているユーザーが望む場合は、Project Fusionでの決定が下るまでの間、使用を継続できると話している。
一方、ある匿名のウォール街アナリストは、OracleがProject Fusionで複数のデータベースをサポートする可能性は低いと予測し、「Oracleがサポートを決定することはまずないだろう。データベース分野は、同社の収入のおよそ80%を占めているのだから」と指摘した。
データベースについての発言はなかったが、Oracleは米国時間18日、IBMの「WebSphere」ミドルウェア上でProject Fusion製品を稼働できるようにして、異なるアプリケーションの相互通信を実現する計画を発表した。
Oracleはミドルウェアの重要性が次第に高まっていることを認識していると、Phillipsは述べている。
Phillipsは、「Oracleの中には、ミドルウェアが(売上面で)データベースを凌駕するのではと感じている者もいる」と話し、アプリケーションの展開方法がある種の影響を持ち始めていることに言及した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ